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ワクチン接種で併存する3システム 混乱懸念、背後に官邸VS厚労省

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 政府は新型コロナウイルスのワクチン接種で、全国民に番号を割り振るマイナンバー制度を使用した新たな情報連携システムを構築する。だが、別の流通管理システムも稼働させる上、各自治体が管理する予防接種台帳と計3システムが併存し、混乱が生じる懸念もある。政府が新システム構築を打ち出した背景には、デジタル化をめぐる首相官邸と厚生労働省の考え方の違いもありそうだ。

 新たに構築するシステムでは各自治体がマイナンバー情報と予防接種台帳を基にした接種券情報を登録。住民は郵送された接種券を接種場所で提出し、スタッフがバーコードを読み取ると履歴が記録される。自治体が個人の接種情報をリアルタイムに入手でき、自治体間の連携を可能にする。

 ただ、作業を行う自治体には、複数のシステムに入力が必要となり負担が大きいとの懸念もある。1月27日に官邸を訪れた全国市長会の立谷秀清会長(福島県相馬市長)は記者団に「現場の実務が増えるなら、スピーディーに接種を進めることに支障があるのではないか」と苦言を呈した。

 これに対し河野太郎ワクチン担当相は同29日の記者会見で「そんなむちゃくちゃ手間になるということにはならない」と反論。「入力を含め必要なものは国が負担するので新たな負担にはならない」と説明した。

 なぜ、第3のシステムが必要だったのか。当初は厚労省も接種情報の直接把握を検討したが、現行の予防接種法では住民の接種情報管理は自治体が行うと規定している。国が行うには個人情報保護法により本人同意が必要とされる。

 次善策として従来の予防接種と同様、「ほぼ電子化済み」(厚労省)の予防接種台帳を利用。各自治体に新型コロナに対応できるよう改修作業を要請した。同時にワクチンの流通を効率化するため、流通管理システム「V-SYS(ブイシス)」を構築。全国4万カ所の接種会場のどこに、いくつワクチンが準備できているかを住民も確認できるようにした。こうした計画は昨年秋頃には固まった。

 河野氏が最も問題視したのは予防接種台帳は最新情報の反映に2、3カ月かかることだった。接種は3週間間隔で2回必要。台帳では未接種者に接種を促す通知ができず、接種券を紛失した場合もすぐに状況が把握できない。春に引っ越しする人が増え、履歴が追えなくなる問題もあった。

 このため新たに情報連携システムを考案し、あくまで自治体主体とすることで法の壁をクリアした。マイナンバーと接種記録をひもづけたことで予防接種台帳やV-SYSとの連携も視野に入る。菅義偉政権が進める行政のデジタル化のモデルケースとなり得る。

 官邸は河野氏の就任前から厚労省に情報把握を強化するよう指示していた。政府高官は「厚労省がやれることを放置していた」と話す一方、厚労省の担当者は「現行の仕組みの中で実現可能性を考えれば接種台帳を使うのがベターだった」と反論しており、政府内にしこりが残っている。(市岡豊大、大島悠亮)

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