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日米首脳電話会談 対中足並み乱れ回避 「インド太平洋」の意義説得

バイデン米大統領との電話会談を終え、取材に応じる菅首相=28日未明、首相公邸
バイデン米大統領との電話会談を終え、取材に応じる菅首相=28日未明、首相公邸

 28日未明に行われた菅義偉(すが・よしひで)首相とバイデン米大統領の電話会談は、最初の首脳会談としては充実した内容となった。両首脳は中国の一方的な現状変更を牽制(けんせい)する「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向け連携することで一致し、当初懸念された足並みの乱れを修正した形だ。

 「米国がいい言葉を考えてくれてよかった」

 会談後、政府高官はこう安堵(あんど)の声を漏らした。「いい言葉」とは「自由で開かれたインド太平洋における平和と繁栄」を指す。

 昨年11月の米大統領選直後、バイデン氏は首相との電話会談で「安全で繁栄したインド太平洋」と述べていた。トランプ政権では安倍晋三前首相が提唱したFOIPが戦略として定着しており、バイデン氏が既定方針を覆そうとしているのではないかという懸念もあった。

 「自由で開かれた」と「安全で繁栄した」の差は単なる言葉遊びの次元には収まらない。「自由と開放性」は「法の支配」や「航行の自由」など日米を中心とする同盟諸国が共有する価値観を表しており、これに挑戦する中国を牽制する意味合いを持つ。一方で「安全と繁栄」は、中国の問題行動を批判する要素があまりない。

 日本側は電話会談を前に、こうした差を米側に説明して説得にあたった。米国では大統領が代わると前政権の政策を否定する傾向があるが、バイデン氏の米民主党が外交でも人権や民主主義を重視する伝統を持つことを念頭に「FOIPはむしろ民主党らしい戦略だ」と説いた。

 この結果、米政府は「自由で開かれたインド太平洋における平和と繁栄」にとって、日米同盟が基礎であることを両首脳が確認したと発表。安全保障上の懸念として北朝鮮とともに中国を名指しした。

 ただ、バイデン政権が重視する地球温暖化問題や感染症対策には中国の協力が必要で、これと引き換えに軍事的圧力が弱まる恐れが絶無とは言えない。中国は米本土に届く核ミサイルを増強しており、米国がこれを恐れて日本防衛をためらう危険性もある。

 こうした懸念を踏まえ、バイデン氏は会談で、米国が核戦力などで日本に対する脅威に対抗する拡大抑止を提供すると明言した。抑止の実効性を高める「宣言政策」といえるが、これも日本側が水面下で求めていた。

(杉本康士)

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