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「成人式発祥の地」は式典オンライン化を回避 埼玉県蕨市長に聞く

インタビューに応じる埼玉県蕨市の頼高英雄市長=18日午後、蕨市役所(竹之内秀介撮影)
インタビューに応じる埼玉県蕨市の頼高英雄市長=18日午後、蕨市役所(竹之内秀介撮影)

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、多くの自治体が成人式のオンライン開催に踏み切った。「成人式発祥の地」の埼玉県蕨市は、式典のオンライン化は避け、延期という措置をとった。「リアル」での開催にこだわる背景にはどのような思いがあるのか。また、コロナ禍で成人式の意義はどう変わったのか。頼高英雄市長に聞いた。

 「成人式は、単に市長の話を聞くだけではなく、同じ世代が一堂に会して旧交を温め合うという点も重要な要素だ」

 頼高市長は18日、取材に対しこう力説した。

 蕨市によると、市の前身の旧蕨町で昭和21年11月、全国で初めての成人式が「成年式」と銘打って行われた。この取り組みは広く注目を集め、新成人の門出を祝う式典は全国の自治体に広がった。蕨市では現在に至るまで、第1回の名称を引き継いで「成年式」として式典を開催している。

 蕨市が今年の式を延期すると発表したのは、開催が6日後に迫った今月5日のことだった。

 頼高市長は「コロナ禍の中でも式をやり遂げることが発祥の地としてふさわしいと考え、ぎりぎりまで準備を進めてきた」と明かした上で、こう続けた。

 「しかし、年末年始はこれまでとはレベルの違う感染の急拡大が続いた。市民が大きな不安を感じている中で開催を強行すれば『こんな状況で何をしているんだ』という批判が起きかねず、まちを挙げて若者を祝福するという式本来の趣旨から外れてしまう。こうした懸念から、新成人には申し訳ないが延期を決めた」

 オンライン開催を避けた背景には、発祥の地としての強い思いがあった。

 「オンライン開催で終えてしまった方が市としては楽だったかもしれない。だが、新成人が互いに顔を合わせることができなければ意義が薄れかねない。新成人やその家族から『延期にしてくれてよかった』という声が非常に多く寄せられている」

 感染拡大に収束の兆しが見えない中、「成人式を楽しみにしている人が今年は特に多い印象だ」と頼高市長は語る。

 「コロナ禍で人との接触が制限され、新しい友人を作ることもできず、孤独感を深めている若者が増えていると聞く。こういった時世だからこそ、友人や故郷とのつながりを再確認する成人式の意義は見直されているのではないか」

 旧蕨町での第1回「成年式」は、先の戦争による混乱が尾を引く中、次代を担う若者たちを励まそうと町青年団が中心となって企画された。

 「先の戦争と同様、コロナ禍は日本、そして世界にとって大変な事態だ。新成人はそうした時代を生きていくことになるので不安は大きいと思う。だが、先人のようにこの困難を乗り越えて、どうか人生を充実させてほしい。式典ではこうした思いを込めてエールを送るつもりだ。『成人おめでとう』といえる日を楽しみにしている」

(竹之内秀介)

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