オスプレイ代替地選定 時間との闘い
防衛省が陸上自衛隊の輸送機オスプレイの恒久的な配備計画で佐賀空港(佐賀市)に代わる候補地の選定に着手する方針が明らかになった。木更津駐屯地(千葉県木更津市)での5年の暫定配備期間はオスプレイの1機目が到着した令和2年7月が起点で、タイムリミットはおよそ4年半。代替地の選定は時間との闘いになる。
佐賀空港への配備計画を断念しない段階で代替地の選定に入るのは地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア(地上イージス)」の配備を断念した経緯の教訓からだ。令和2年6月、代替策のないまま地上イージスの配備計画停止を決定して後の混乱を招いた二の舞いを避けるため佐賀空港配備計画を撤回する際は代替地を提示できるようにしておく。
実は、木更津駐屯地への暫定配備の直前、防衛省は佐賀空港の代替地の選定に着手することを検討していた。その時期に地上イージスの配備断念が重なった。
調査などの不手際で地元の反発を招いていた地上イージスに続き、漁協の了解が得られない佐賀空港配備計画も見直す動きを始めれば「辺野古に飛び火しかねない」(政府高官)と代替地選定を先送りした。工事が進んで状況が異なるものの米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設も「止められる」と地元の反対派が勢いづく恐れがあると判断したのだ。
ただ、先送りで代替地選定にかけられる時間が減るという弊害が生じた。候補地を絞り込み、地元の理解を得る調整を行い、オスプレイを配備するための施設整備も終えるには4年半は余裕があるとはいえない。
木更津駐屯地での暫定配備期間のカウントダウンが進む一方、恒久的な拠点が定まらない状態が続けば、オスプレイの運用を担う陸自隊員の士気に影響するとの懸念も強い。政府を挙げた地元調整により代替地を早急に選定することが求められる。(半沢尚久)