【政治回顧2020】「解散なら壊滅」の危機感で衆院100人超の野党誕生
今年は野党にとっても節目の年となった。旧立憲民主党と旧国民主党は長い合流協議の末に、衆参計150人が参加して新党「立憲民主党」を誕生させた。ただ、次期衆院選に挑む態勢づくりを急いだ副作用は大きく、野党や支持基盤の足並みがそろったとはいいがたい。
9月15日、都内のホテルで新党となった立民の結党大会が開かれた。もともと同じ民主党勢力だった旧立民と旧国民の議員を中心に衆院107人、参院43人が参加した。衆院で野党第一党が100人を超えるのは8年ぶりで、平成21年衆院選で民主党が政権を獲得する前の115議席に迫る。初代代表となった枝野幸男氏はこう熱弁した。
「衆院では政権交代の発射台といわれる100人を超えるメンバーが集まった。今こそ国民に選択肢を示すときだ」
昨年12月、旧立民でも代表だった枝野氏は、旧国民の玉木雄一郎代表に合流を呼びかけた。ただ、旧国民を事実上吸収合併する内容で、対等な形を求める玉木氏との溝は埋まらず構想はいったん立ち消えた。
合流構想が突如再浮上したのは7月15日。旧立民の福山哲郎幹事長が旧国民の平野博文幹事長と会談し、両党が一度解党した上で議員が合流する形で新党の立民を立ち上げ、所属国会議員による代表選を行う-などの譲歩案を打診した。
「苦渋の判断」(枝野氏)の背景にあったのは永田町の解散風だ。安倍晋三首相(当時)が秋にも衆院を解散するとの臆測があった。だが、民主系が割れたままでは反自民票が分散する。複数の幹部が枝野氏に「今解散されたらわれわれは壊滅する」と迫った。
民主系の支持団体、全国の労働組合が加盟する「連合」の神津里季生(りきお)会長も、枝野、玉木両氏に「大きな固まり」になるよう促した。昨年の参院選では旧立民、旧国民両党が競合する選挙区があり、連合傘下の労組からは「支援先が割れると選挙戦が大変だ」という不満が噴出していた。