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「分権」より「収入」重視 菅政権の地方政策 組織スリム化も課題

 地方重視を掲げる菅義偉首相による「地方創生」のカラーが輪郭を現しつつある。地方分権そのものに関する目立った動きはない一方、農林水産品の輸出拡大や地方銀行再編など競争力強化による「収入増」で地方活性化を図る姿勢が目立つ。ただ、個別の政策は次々と打ち出され、全体像は見えにくい。背景には関連組織の乱立もある。

 「高校まで秋田県の農家の長男として生まれ育った。東京に出てきて紆余(うよ)曲折を経ながら、ゼロから政治の世界に入った。そういう中でやはり地方創生だ」

 首相は23日に都内で行われた講演でこう述べ、自身の生い立ちにからめ地方創生の重要性を強調した。首相は横浜市の選挙区選出だが、自民党総裁選でも地方出身であることを訴えたことが大勝を後押しした。首相就任後も地方重視のアピールが目立つ。10月の所信表明演説では、目玉政策のデジタル化に関し「地方に暮らしていてもテレワークで都会と同じ仕事ができる」と強調した。

 菅政権の地方政策は、実利に力点を置いているのが特徴だ。外国人観光客受け入れや農林水産品の輸出増など地方の収入増につながる政策の長期計画を年内に策定するよう矢継ぎ早に指示。全国に103ある地方銀行も「多すぎる」とし、競争力強化に向けた地銀再編に意欲を示す。

 ただ、地方に権限や財源を移譲する制度見直しは主要課題になっていない。国と地方の「三位一体の改革」を打ち出した小泉純一郎政権や、都道府県が自由に使途を決められる一括交付金を導入した民主党政権の政策とは一線を画する。

 個別の政策を束ねる総合的な地方政策も明示されていない。その一因が司令塔の不在だ。政府には、すでに▽まち・ひと・しごと創生本部▽地方創生推進事務局▽一億総活躍推進室▽成長戦略会議事務局-といった組織が乱立し、政府高官は「同じことをしている組織がいくつもある」と頭を悩ませる。行政の縦割り打破を掲げる菅政権にとって関連組織のスリム化も課題となりそうだ。(児玉佳子)

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