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対中戦略に不安 首相「インド太平洋」に言及せず

テレビ会議方式で開かれた日中韓3カ国とASEANの首脳会議に臨む菅義偉首相=14日、首相官邸(内閣広報室提供)
テレビ会議方式で開かれた日中韓3カ国とASEANの首脳会議に臨む菅義偉首相=14日、首相官邸(内閣広報室提供)

 菅義偉首相は14日の東アジアサミットで、東・南シナ海における中国の強引な行動を批判する一方、法の支配など普遍的価値を基調とした「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向け、各国の協力を呼びかけた。ともにFOIPを推進する米国は政権移行期にあり、トランプ米大統領も不在の状況で普遍的価値の旗振り役となった。ただ、ASEANプラス3ではFOIPに言及しないなど不安を残す側面もあった。

 「平和で繁栄したインド太平洋をともに作り上げていきたいという思いを各国首脳に伝え、そのために必要な協力を進めていくことで一致した」

 首相は14日、官邸で記者団に対し、12日から続く一連のASEAN関連首脳会議をこう振り返った。首相の念頭にあるのは、南シナ海の軍事拠点化などを進め、経済力やインフラ開発などを通じて影響力強化を進めている中国だ。

 これに対し、日本は安倍晋三前政権から米国など価値観を共有する国々とFOIPを推進することで対抗しており、菅政権でもこうした方針を受け継ぐ。ただ、トランプ氏は4年連続で東アジアサミットに欠席。米大統領選で当選を確実にしたバイデン前副大統領の対中政策も明確に見通せず、地域各国は米中対立の趨勢(すうせい)を慎重に見定める雰囲気が色濃い。

 一連の首脳会議では中国の矢面に立つ日本の姿勢が目立った。首脳会議の成果文書をめぐり、中国はFOIPを対中封じ込めと警戒して「インド太平洋」との文言を盛り込むことに反対したのに対し、日本は中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)や巨大経済圏構想「一帯一路」を削除するよう主張した。

 しかし、首相は14日のASEANプラス3ではFOIPに言及しなかった。昨年11月の同会議では、安倍氏がASEAN版のインド太平洋構想(AOIP)に触れ「FOIPとAOIPとのシナジー(相乗効果)を追求し、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて連結性の向上に貢献したい」と呼びかけたのとは温度差が出た形だ。

 首相は9月の自民党総裁選で「反中包囲網」に否定的な見解も示している。首相が融和的な対中政策を模索しているのではないかとの懸念は、今後も政府・与党内でくすぶることになりそうだ。(田村龍彦、市岡豊大)

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