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コロナ禍でデフレ再燃懸念、所得・雇用環境悪化

記者会見する日銀の黒田総裁=29日午後、日銀本店(代表撮影)
記者会見する日銀の黒田総裁=29日午後、日銀本店(代表撮影)

 日本銀行は29日、令和2年度の経済成長率と物価上昇率の見通しを7月時点から、それぞれ下方修正した。飲食など“対面”サービスの需要の回復が遅れるなど、新型コロナウイルスの影響が長引いているからだ。コロナ禍でデフレが再燃したり、企業業績の回復が遅れたりすれば、雇用や所得環境の悪化などを通じ、日本経済には一段と下押し圧力がかかる。

 日銀が成長率見通しを引き下げたのは、新型コロナの影響から、営業自粛などを迫られた飲食や宿泊といった消費の回復が鈍いためだ。物価見通しも需要低迷に伴う価格引き下げや原油価格の下落、観光支援事業「Go To トラベル」による宿泊料の値引きも影響し、下方修正した。

 政府が目指す携帯電話料金の引き下げもあり、今後も物価下落傾向が続きそうだ。これに対し黒田東彦(はるひこ)総裁は「一時的な価格変動だ」と述べ、全体の趨勢(すうせい)には影響しないとの考えを示した。

 しかし、モノの値段が下がり続けるデフレになれば企業業績の悪化を通じ、雇用や所得に悪影響を及ぼしかねない。実際、8月の有効求人倍率は前月比0・04ポイント下落の1・04倍で8カ月連続の悪化。所得が減れば、モノも売れなくなる。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「コロナショックによる物価の下落はこれから本格化する」と指摘する。

 日銀は当面、企業の資金繰り支援や金融市場の安定など、新型コロナ対策に注力する構えだ。黒田総裁はコロナの影響が和らいだ後に、物価上昇につながるような経済活動の刺激策に力を入れる考えを示した。

 ただ、日銀の金融緩和策にも限りがある。マイナス金利の拡大などは金融機関の収益を一段と悪化させる副作用があるからだ。

 日銀は今月、新型コロナで長期にわたり景気が停滞すると想定した場合、融資の焦げ付きに備えた与信費用の拡大などで、大手銀行の財務の健全性を示す自己資本比率が4年度末に4・6ポイント(元年度比)低下するとの予測を公表。銀行の体力が低下すれば“貸し渋り”などで、実体経済がさらに悪化する恐れがある。(大柳聡庸)

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