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【世界のかたち、日本のかたち】大阪大教授・坂元一哉 戦後を終わらせた首相

安倍晋三前首相
安倍晋三前首相

 安倍晋三前首相は、辞任表明の記者会見(8月28日)で、安倍政権の政治的遺産(レガシー)は何かと問われ、「レガシーはまさにこれは国民の皆さまが判断する、歴史が判断していくと思う」と答えている。

 その通りだと思う。すでに安倍政権についてさまざまな分析や評価がなされているが、それら自体の分析や評価も含めて、安倍政権のレガシーの全体像が国民に明らかになるには少し時間がかかるだろう。

 そもそも「安倍政権」の政治的遺産というのであれば、それは短命に終わった第1次安倍政権のそれも含めて考える必要がある。13年前に終わった第1次政権は、その1年間の実績を評価「しない」という人たちが首相辞任表明後の世論調査で6割を占めた。これに対して今回、7年8カ月余り続いた安倍政権の実績については、評価「する」という答えが7割となっている。いずれも朝日新聞の調査だが、レガシーの議論には、このコントラストの分析もいる。

 また安倍前首相は、辞任表明の際に、これからは一議員として政治活動を続けると明言している。前回の辞任表明時には、なかった言葉である。その政治活動がどのようなものになるかは当然、安倍政権のレガシーにもかかわってくるだろう。

 そういうわけで、安倍政権のレガシーをいま語ることは難しい。ただ、将来の歴史家が過去を振り返って安倍政権をどう見るかを予想してもいい、といわれればどうか。

 私は安倍政権は、戦後という時代を終わらせた政権、として記憶されると予想する。その理由はまず、短命政権の連続(最初の安倍政権自体にも責任の一端がある)と日本政治の不安定を解消し、史上最長となる政権を実現したこと。次に、平和安全法制および戦後70年談話(2015年)で、戦後長く続いた安全保障の法的基盤における重大欠陥を是正し、また戦後日本外交を必要以上に後ろ向きにした歴史認識問題に一応の決着をつけたこと。そして、約200年ぶりとなる天皇の退位(譲位)に伴う御代替わり(2019年)の諸行事を恙(つつが)なく執り行い、戦後が始まった昭和の次の次の時代の幕を開けたことなどである。

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