PR

ニュース 政治

【主張】社会保障と「自助」 首相は政策の具体論語れ

 高齢社会が本格化する中で、これを支える社会保障制度を揺るぎなく維持するための改革は、菅義偉政権が最優先で取り組むべき課題である。

 菅首相は「自助・共助・公助」を国の基本に掲げた。まずは自分で努力し、さらに地域や家族で助け合う。それでも背負えないリスクは、政府がカバーするという考え方だ。

 このうちどこに力点を置くかは語っていない。だが、わざわざ自助を挙げたのは、社会保障において国民一人一人の負担増や給付抑制を促す布石なのだろう。

 国民の暮らしに責任を負うべき政府のトップが自助に触れることに反発もあるかもしれない。改革には痛みも伴う。それでもこれは子供や孫の世代に制度を受け継ぐために避けては通れぬことだ。

 菅首相は社会保障制度改革の方向性についてもっと具体的に語るべきだ。国民の理解がないと、なすべき改革も果たせまい。

 令和4年には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者入りし始める。ただでさえ医療や介護の費用が急増するのに、コロナ禍で国の財政はさらに悪化した。支え手である現役世代の失業や賃金低下が広がれば制度の脆弱(ぜいじゃく)化も進もう。

 制度維持には、支払い能力に応じて負担増を求め、真に必要な人にサービスを重点化しなければならない。保険料を出して支え合う医療保険や介護保険、年金については特に、負担のあり方を見直して基盤を強めることが急務だ。

 例えば年金制度は「65歳から年金生活」という前提で設計されているが、人生は100年時代である。高齢者を一様に弱者とみなさず、収入や生活実態に応じた負担を検討すべきだ。高齢者医療の窓口負担を引き上げる見直しも積年の課題である。湿布薬や市販品類似薬の医療保険適用も本当にその必要はあるのか。こうした議論を加速してもらいたい。

 自助努力の重要性について、これまで政府が十分説明してきたとはいえない。金融庁の審議会の作業部会は昨年、豊かな老後を送るための資産形成を促す報告書をまとめたが、金額を「2千万円」としたことが批判されたため、政府は報告書を受け取らなかった。

 誰しも負担は軽い方がいい。一方で、それでは済まない現状がある。このことを丁寧に説明し、理解を求めることは、首相が果たすべき大きな責務といえる。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ