PR

ニュース 政治

【主張】日露交渉 「四島返還」へ方針を戻せ

 これまでの対ロシア方針では北方領土交渉を前進させられない。菅義偉首相とプーチン露大統領が9月29日に行った初の電話首脳会談で改めて明白になった。

 この中で菅首相は「北方領土問題を次の世代に先送りすることなく、終止符を打たなければならない」と述べた。

 しかし、電話会談に関する露大統領府の発表文は、北方領土問題にも日露平和条約交渉にも全く言及しなかった。会談が行われた29日、ロシアは不法占拠する北方領土で軍事演習を開始し、実効支配を誇示した。

 菅首相は安倍晋三前首相の政策を「継承する」としているが、対露外交については前政権の失敗に学び、根本的に仕切り直すことが不可欠である。

 前政権は、対露経済協力をテコに領土交渉を動かそうとし、北方四島での共同経済活動に関する協議も開始した。1956年の日ソ共同宣言に基づいて交渉を加速させるとし、事実上、色丹島と歯舞群島の「2島返還」を求める立場に転換した。

 首相官邸が主導したこの路線は何ら成果を生まず、逆にロシアに足元を見られた。プーチン政権は「日本との間に領土問題は存在しない」と主張するまでに態度を硬化させた。今年7月に発効したロシアの改正憲法には「領土割譲の禁止」が盛り込まれた。

 強硬姿勢の背景には、プーチン氏が保守層に依拠して求心力を維持しているという国内事情がある。この現実を直視した上で、菅首相は交渉の論理を組み立て直さなければならない。

 安倍前首相が交渉の基礎にするとした日ソ共同宣言は、日露間の合意文書の一つにすぎない。93年の東京宣言をはじめとする他の合意や交渉の過程を軽視せず、日本が求めているのは北方四島の返還であることを鮮明にすることが何より必要だ。

 北方四島が返還されてこそ、日本の対露感情は大きく変わり、経済協力も可能になる。極東開発といった難しい問題についてはなおさらだ。ロシアにはこのことを自覚させねばならない。

 プーチン氏の支持基盤は決して盤石でなく、「プーチン後」を見据えて布石を打つことも重要だ。北方領土占拠の不当性を露国民や反体制派、国際社会に粘り強く訴えておくべきだ。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ