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入国制限緩和、五輪に向けた地ならし

 政府が新型コロナウイルスの水際対策として実施している全世界対象の入国制限を緩和するのは、経済を重視する菅義偉(すが・よしひで)首相の姿勢を反映したほか、来夏の東京五輪・パラリンピック開催に向けた地ならしの意味合いがある。ただ、専門家の中には国際的な人の移動に伴う感染再拡大を危ぶむ声もある。ここにも政治と科学のせめぎ合いがある。

 「感染拡大防止と社会経済活動の両立を図っていくために対策に全力で当たってほしい」

 首相は25日の政府の新型コロナの対策本部でこう強調した。感染状況や空港での検査体制の拡充などに合わせ、入国する人数の上限を徐々に引き上げていく考えだ。

 政府が入国制限緩和を急ぐ背景には、コロナ禍での東京五輪・パラの準備が進んでいることがある。

 首相は23日、国際オリンピック委員会(IOC)と電話で会談したほか、不仲とされる東京都の小池百合子知事と官邸で会談し、東京五輪・パラで連携していくことを確認した。政府は同日、大会に参加する選手の入国を出入国時の検査で陰性であることを条件に受け入れる方針を決めた。

 五輪・パラは200以上の国・地域から約1万人の選手が集まるイベントだ。閣僚経験者は「いつまでも『鎖国』をしていたら準備が整わない」と語った。

 もちろん、感染拡大につながっては元も子もない。政府は、入国者の受け入れ団体や企業が、入国後2週間の自宅待機や公共交通機関を使わないなどの措置を誓約書を通じて確約することを条件とした。国や地域によって感染症対策が異なるだけに、外国人に対し「3密」や大声を避けるといった日本式の対策の周知徹底も課題となりそうだ。

 一方、厚労省に助言する専門家組織は24日、先月下旬以降「全国で感染者数の減少傾向に鈍化がみられる」、「世界的にも、連日30万人近い新規感染者数を記録するなど感染拡大が続いていることなどにも留意が必要だ」とする分析をまとめた。

 欧州などでは経済活動の再開や国際的な人の移動を緩和した後に、感染者が再び増加した例がある。

 25日の新型コロナ対策分科会では「感染が拡大した場合には(人数を)調整することも考えたほうがよい」との意見が出た。分科会メンバーの医療関係者は「感染が多い地域と収まっている地域を一緒くたにはできない」と述べ、地域ごとの感染状況を見極めるべきだとの認識を示した。(沢田大典、田中将徳)

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