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【総裁選】菅氏はいかにして圧勝したのか 周到な戦略で地方票も

自民党総裁選の決起集会に臨む菅義偉官房長官=14日午後、東京都港区(松本健吾撮影)
自民党総裁選の決起集会に臨む菅義偉官房長官=14日午後、東京都港区(松本健吾撮影)

 安倍晋三首相の突然の辞任表明に伴う今回の自民党総裁選は、首相を官房長官として支え続けた菅義偉(すが・よしひで)新総裁が国会議員票、地方票ともに圧勝した。二階俊博幹事長らの支持を早急に取り付け、党内7派閥のうち5派閥の支援を受けた国会議員票は序盤から優位だったが、その反動で派閥間の主導権争いが勃発。「派閥政治の復活」との批判も出て、地方票への影響が懸念された。そんな流れを止めたのは、菅氏が語った「原点」だった。

 菅氏は首相の辞任表明翌日の8月29日、二階氏に直接、出馬の意向を伝えた。二階氏率いる二階派(志帥会、47人)が菅氏支持を打ち出すと、最大派閥の細田派(清和政策研究会、98人)や第2派閥の麻生派(志公会、54人)などが雪崩を打って加勢した。

 国会議員票は8月中に大勢が決した一方、新政権発足を見据えたポストをめぐる各派の水面下の動きもあり、派閥間抗争の様相も呈した。議員票と地方票の得票差に大きな乖離(かいり)が生じれば、新政権発足後の基盤が脆弱(ぜいじゃく)になりかねなかったが、杞憂(きゆう)だった。

 「私の原点について、少しだけお話をさせていただきたい」

 今月2日の出馬表明記者会見で、菅氏は普段よりゆっくりとした口調で、これまでの半生を語り始めた。

 雪深い秋田県で生まれ、農家を継ぐことに抵抗して上京したこと。働き始めた町工場ですぐに厳しい現実に直面したこと。地縁も血縁もないゼロからのスタートで政治の世界に挑んだこと…。飾りのない言葉の数々は、官房長官としての記者会見で見せる「言葉数の少ない、こわもてのスポークスマン」とは異なる印象を残した。

 「あの出馬会見で党員の反応もガラッとかわった」。党中堅がこう振り返るように、「次のリーダー」を問う報道各社の世論調査で常にトップ級だった石破茂元幹事長を菅氏が上回るようになった。「たたき上げ」の半生が広く知られ、安倍首相や石破氏、岸田文雄政調会長ら「世襲議員」ではないことも新鮮に受け止められたようだ。

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