PR

ニュース 政治

安保談話 敵基地攻撃能力に多くの課題、移動する発射地点の特定は

安全保障に関する談話発表を受け記者団の質問に答える安倍晋三首相=11日午後、首相官邸(春名中撮影)
安全保障に関する談話発表を受け記者団の質問に答える安倍晋三首相=11日午後、首相官邸(春名中撮影)

 安倍晋三首相が11日の談話に明記した「ミサイル阻止に関する安全保障政策の新たな方針」は、「撃ったら撃たれる」と敵に発射を思いとどまらせる「敵基地攻撃能力」の保有を含む。ただ、これまでは日本の領域に迫る相手への対応一辺倒で、自衛隊には敵基地攻撃ができる装備体系が整っていない。独自の情報収集・監視・偵察(ISR)能力の強化など課題は多い。(田中一世)

 防衛省は離島防衛のために戦闘機などから発射する射程約500~900キロの外国製巡航ミサイルの導入を決めており、来年度以降に順次取得する。これを敵基地攻撃に転用することは可能だ。政府・自民党内では通常弾頭型で約1300キロ以上飛び、北朝鮮や中国を射程に収める米国製巡航ミサイル「トマホーク」の保有論も出ている。

 ただ、これら長射程ミサイルを取得しただけでは能力を保有したとはいえない。発射目標を監視し、特定する能力も必要となる。

 北朝鮮は今年、4回(8発)の弾道ミサイルを発射した。そのすべてが固定の基地ではなく、移動式発射台(TEL)から撃たれた。林や山の中に潜んだTELの位置をリアルタイムに特定する監視・偵察能力を日本は備えていない。

 日本は独自の早期警戒衛星や、偵察に適した長時間滞空型の無人偵察機を保有しておらず、米国に依存している。政府は米国製の大型無人偵察機「グローバルホーク」3機の来年度からの配備を予定しているが、防衛省幹部は「より安価な無人偵察機の増勢も必要だ」と指摘する。

 自民党内には抑止力を高めるため、発射地点だけでなく、敵の司令部やレーダー施設といった固定施設を敵基地攻撃の対象とすべきだとの意見が多い。これらは日本独自でも位置の把握が可能とされる。

 敵基地攻撃を成功させるには相手の防空レーダー網を突破する必要もあり、レーダー網を無力化する電子戦関連の装備も必要となる。ただ、これらをすべて日本独自で整備することは現実的に不可能だ。河野太郎防衛相は11日の記者会見で「かなりの一連の能力が必要になり、現時点でわが国として身に付けるという方向ではない」と述べた。

 河野氏は「日米の役割分担の変更は政府としても考えていない」と強調。ISRなどの能力強化を図ったとしても、引き続き米国頼みである状況は変わらないとみられる。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ