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【女子の兵法・小池百合子】李登輝元総統の教えに感謝

 李登輝氏の博覧強記ぶりは有名だが、大変な凝り性でもある。大渓の別宅には大好きなゴルフのセットがずらりと並ぶ部屋、すべての岩波新書が並ぶ図書室など、とにかく徹底している。最後にお会いした頃の関心事は人工知能と「出エジプト記」だった。

 李登輝氏について、最も思い出深い出来事は99年9月に台湾中部を震源に起こった921大地震の時。当時、李登輝氏は現職の総統である。95年1月の阪神大震災で住居を失った被災者のための仮設住宅が、恒久住宅の建設にともなって役目を終えた頃だった。私は台湾での地震発生を知り、神戸の仮設住宅が再び役に立つと考え、手元にあった仕様書を台湾に送った。

 早速、反応があった。発災直後は救命救助が優先されるものだ。かえって足手まといになってはいけないと、10月に入って台湾に向かった。

 総統府で震災のお見舞いを伝えると、「被災地へ一緒に行こう」との流れになり、総統の特別機に同乗した。驚いたことに、現地の公園には、私が送った仮設住宅の仕様書通りにくいが打たれ、いつでも建設に入る準備が整っていた。一介の衆議院議員が送った資料だったが、迅速で、徹底した対策ぶりに感動した。「これは『雪中送炭』だ。感謝する」との声もいただいた。必要な時に、必要なモノを支援するという意だ。

 さらに、被災した台中日本人学校にも訪れた。代替地には精糖会社の跡地を活用する話も李登輝氏の協力とともにトントン拍子で進んだ。

 移築された新しい台中日本人学校には、その後、議員の仲間と訪問し、記念に桜の木を皆で植樹した。きっと学び舎から巣立った子供たち同様、大きく育っていることだろう。

 地球儀を俯瞰(ふかん)しながら、人々の心のひだを読み取る大切さ。指導者のあり方を体現された李登輝元総統にあらためて感謝の念を表したい。

 安らかにお眠りください。

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