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獣医学部誘致に奔走 逝去の加戸前愛媛県知事

加戸守行前愛媛県知事(斎藤良雄撮影)
加戸守行前愛媛県知事(斎藤良雄撮影)

 「ゆがめられた行政が正された」-。21日に85歳で逝去した前愛媛県知事の加戸守行氏が、平成29年7月の参院閉会中審査で残した言葉だ。学校法人「加計学園」の愛媛県今治市への獣医学部新設計画をめぐり、野党や一部マスコミは当時、「行政がゆがめられた」(前川喜平元文部科学事務次官)といった指摘を根拠に首相官邸による不当関与の可能性を追及。多勢に無勢の状況下、誘致に奔走した当事者として真っ向から不正を否定する古武士然の姿が今も脳裏に焼き付いている。 

 加戸氏が獣医学部の誘致に東奔西走した背景には、鳥インフルエンザや狂牛病などの対応に追われた知事時代の経験がある。22年に口蹄疫(こうていえき)が問題化した際には検疫態勢を強化する一方で、公務員獣医師の少なさを痛感した。

 見た目は温厚、口調も穏やかだが、話題が獣医師問題に及ぶと豹変(ひょうへん)した。29年6月の産経新聞のインタビューでは「あのときほど獣医師がほしかったことはなかった。もう一回、口蹄疫が来たら、みんなぶっ倒れますね」と強調していた。

 国会が公務員獣医師不足という本題から目を背け、安倍晋三首相と加計学園理事長との関係ばかりを取り上げるのは問題だとして「何を議論しているんだ、このバカ野郎」と怒りもあらわにした。野党や一部マスコミが前川氏の見方を重宝する中、「物事は多面的に見なければならない」という取材のイロハのイを思い出したことは収穫だった。

 知事退任後に出席した獣医学部の入学式では「国際的に通用する獣医師として、世界に加計学園獣医学部の名をとどろかせてください」とエールを送った。今年1月に知人からマフラーが贈られた際には「今回の入学式にはこれを着けていこうかな」と心待ちにしていたという。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、大学は今年の入学式の中止を余儀なくされた。「加戸さんが知事だったらどんな対策を講じますか?」と質問できないことが口惜しくてならない。(今仲信博)

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