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【政治デスクノート】質問通告問題は越年 官僚の長時間残業手つかず

 厚生労働省の「改革若手チーム」が8月にまとめた緊急提言には、「入省して生きながら人生の墓場に入った」「家族を犠牲にすれば仕事ができる」「毎日いつ辞めようかと考えている。毎日終電を超えていた日は、毎日死にたいと思った」などと悲惨な言葉があふれた。劣悪な職場環境の原因のすべてではないが、一因に質問通告問題があるのは明らかだ。

 もちろん、官僚がそこまで答弁を作成する必要があるのかという疑問もある。「官僚が作った答弁を棒読みするだけ」と批判される閣僚がいることも事実だ。

 ただ、閣僚が関係法令の細かな条文や予算の詳細な執行状況をすべて把握できるはずはない。課長補佐は「通告が一切ないなら『答弁できる材料を持ち合わせていない』以上、答えようのない回答が増えるのは確実だ」と語る。

 与野党は平成11年、国会の質問通告を「質疑の前々日正午まで」との原則を申し合わせたが形骸化している。最近では、審議日程を決める各委員会の理事会で「通告は前日○時まで」と決めるのが一般的だ。

 議員は質問要旨を各委員会の事務局を通じて内閣総務官室に提出し、同室が各省庁に質問を割り振る。これを受けた各省庁の官僚が答弁を作成し始めるが、議員への再確認のために官僚が議員会館を訪れ、数時間費やすケースもある。さらに、答弁案ができても上司の決裁が必要だ。

 質問要旨の提出が夜にずれ込めば、一連の作業を始める時間も遅れる。翌朝、早ければ午前8時台から始まる質疑の前に大臣へ事前説明する必要があり、放り出すわけにもいかない。

 もっとも、日本の国会には審議日程をめぐる与野党攻防が激しく、開催が前日に決まるパターンも珍しくない。会期末までに採決されなかった法案は継続手続きを取らない限り廃案となる「会期不継続の原則」があり、野党が遅延戦術をとる傾向があるからだ。

 だからこそ、余裕を持った質問通告を可能とするためには、国会の審議日程を決める過程も含めた抜本的な改革が必要となる。これまでは与党側も、野党を過剰に刺激したくないとの思惑が先立ち、大胆な国会改革を提案してこなかった面は否めない。

 人事院によると、今年度の国家公務員採用試験の一般職(大卒程度)志願者は、前年度比11%減の2万9893人と初めて3万人を切った。「キャリア」と呼ばれる総合職の応募も減り続けている。好調な企業業績が主因だが、過酷な職場環境が嫌われているのも減少の理由だろう。

 有能な若者は、国家を支える省庁より民間を選ぶ-。与野党が目先の損得勘定を捨てて改革に取り組まない限り、国益を損なう流れは止まらない。

(政治部次長 水内茂幸)

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