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【転換への挑戦】元首相 中曽根康弘 民主は「中道」に逃げるな

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 いよいよ、野田佳彦政権は末期にきた。各報道機関の最新の世論調査では、内閣支持率は20%を切る水準まできた。野田首相には政権運営への自己主張や覇気がなく、民主党は離党者が相次ぎ党そのものが崩壊現象下にある。

 首相とは、政策の転換、政治環境の刷新といった局面に立ち、衆院解散か内閣総辞職を決断する。通常の選択は解散といえる。

 野田首相は、内外の政局をにらみながら、我(われ)はいかに処すべきかと日夜思い悩んでいるところだろう。政権のあり方を国民に問う形で解散を断行することもできなくはない。だが、ここで解散・総選挙になれば民主党が衆院で100議席以上を減らすのは避けられない状況だ。民主党代表として、これは政治的に極めて危険であり、避けたいところだ。

 となると、総辞職という道が有力となる。野田首相は平成?年度予算編成を自らの手で仕上げて後進に譲るという可能性もなきにしもあらずだ。そうなれば、新しい首相が乾坤一擲(けんこんいってき)の解散を断行することになる。年末から来年初頭にかけて、政局は一つの転機が訪れそうだ。

 民主党政権が3年以上も続くのは、野党としての自民党の無力も問われていると言わざるを得ない。

 安倍晋三総裁は、次の衆院選で自民党は勝利し、政権を奪還できるとみているだろう。特例公債法案の対応を当初の強硬路線から太陽路線に転換したのも、政権奪還後の野党となる民主党との関係を考えてのこととみられる。

 しかし、自民党の支持者が安倍総裁に求めたのは、野田政権に真っ向勝負で挑み、政治を今の民主党路線から大転換することにある。残念ながら、安倍君には「政権交代」の意欲はあっても「政権打倒」の意気込み、気迫が感じられない。荒々しさがなく、良識で上品な「良家の子弟」から抜け切れていないのだ。首相に再登板するのであれば、「野人」らしい太々(ふてぶて)しさがほしい。その上で、周りに忠言や諫言(かんげん)をする人物を集めていくことだ。

 目下、自民党に民主党を打倒する力が足りないがゆえに、第三極が勢いづく。

 ただ、新党結成と国政復帰を決意した石原慎太郎前東京都知事には「二番煎じ」の感が拭えない。石原君は、一度国会議員を辞職し都知事選に挑んで国政に戻り、議員在職?周年で再び議員辞職して知事に転身した。「またの決起か」と〝また〟が付く以上、鮮度は落ちてしまう。第三極の中核として国政を動かす発言力を持つ素質と勢いは感じられるが、今の政権と取っ組み合いや殴り合いをするような「太陽族」のような気迫が感じられない。

 二大政党制が定着しようとしたところに、民主党が「中道」「中庸」を唱えるのは奇異に感じる。「中道」とは本来、自民党と社会党というような右と左が対決する中で存在するものであり、当時の中道勢力は左右をなぎ倒そうと挑んだ。

 民主党は「中道」を自らの逃避の場所に使おうとしているのではないか。自民党と対決する大義名分や政策の差異、巧拙を堂々と示さなければ「第二自民党」に堕するだけだ。国民の積極的な支援は期待できない。(なかそね やすひろ)

<2012/11/09 (金) 東京本紙朝刊 朝1面掲載>

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