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【転換への挑戦】元首相 中曽根康弘 大義名分見えぬ新党

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 小沢一郎氏が4度目の新党を結成した。しかし、今回の「小沢新党」は、一部の者からは悪趣味だとみられても仕方がない面を持つ。

 新党を旗揚げするのなら、国民的な共鳴を獲得できる大義名分、それと旗幟(きし)鮮明な政策、対立政策を示すことが常道であるが、そういう訴えはなく、どうみても「新党屋」ごときものとなっている。国家の芯となる憲法や外交・安全保障についての明確な発信がないし、スローガン的党名「国民の生活が第一」にも新味がない。新党の契機とする消費税増税も、元々は是認してきたはずだ。そういう面からも、今の時局に訴えるべき大義名分は見えてこない。

 つまり、国政の改革よりも政局の変化を求めるための「所在不満新党」としか映らないのだ。

 小沢氏が目指している地域政党との連携による「オリーブの木」構想も未熟だ。大阪や名古屋、愛知の首長が地域的名声や支持を得ているのは間違いない。ただ、中央政界に影響力を与え、動かすだけの政治的、人間的魅力、さらに資金力となるとまだ不十分だ。残念ながら、日本はいまだに東京中心の中央集権であり、地方からの声は微弱である。

 中曽根内閣で自治相に起用したときの小沢氏は、政党人たる「ど根性」を持ち、東北人固有の持久力と将来性のある新人だと期待した。その後、新党を作ったときには、国民の政治不満の解消や新しい政治路線の確立などを考えていた点で支持しえたし、意味のある行動だと理解していた。

 それが、新党も結成を重ねる度に魅力は失われ、とうとう永田町での自己の存在価値を高めるか確認する所作だけになった。最近は「小沢総理待望論」も消えてしまい、小沢氏の国家や政界の前途に対する影響力も弱くなり、「オリーブの木」も繁殖力が強くなりそうもない。

 一方、野田佳彦首相が自民、公明両党と合意して消費税増税法案を衆院通過させたのは、なかなかのものだ。民自公による3党協力という発想自体、斬新な発想でもある。自民、公明両党も、消費税増税を政局の道具にしようとした小沢氏を排除する狙いもあったのだろうが、こうした時局を踏まえて協力に転じたことは評価していいと思う。

 野田政権は粘り強く続き、野田首相はなかなか退かないのではないか。野田政権に対立する明確な政治上、政策上の軸も見えてこない。与野党における「ポスト野田」が国民の前に鮮明になっていないのだ。

 ただ、自民、公明両党も、野田政権への協力は消費税増税までとしている。となれば、その先にあるのは内閣不信任や首相問責の決議案だ。そろそろ、衆院選への備えが必要になる。衆院選は年末までに行われる可能性も十分ある。

 そこからは、各党指導者がどう先の政治を見据えるかとなる。特に野田首相は、衆院選に向けてどのような体制で荒波を乗り切るのか、さらにどのような同志と連携していくのか、反党的行動を取る人たちとどう向き合うか。野田政治に国民がどのような反応を示し、その行動や政界の動向が国の進路や運命を決める大切な時期になってきた。8月、9月は政局から目が離せない。(なかそね やすひろ)

<2012/07/13(金) 東京本紙朝刊 朝1面掲載>

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