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【転換への挑戦】元首相 中曽根康弘 新しい歴史の流れを

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 暑い夏が、今年も来た。しかも、日本の敗戦から?年、日米安全保障条約改定から?年、そして日韓併合から100年という節目である。今年を、いろいろな意味で新しい歴史の流れを作るスタートの年にしたらどうだろうか。

 6日の広島原爆平和記念式典には、潘基文(パンギムン)国連事務総長や、原爆を投下した米国から初めてルース駐日大使が出席した。大使の出席は米国内で物議を醸したが、ルース大使は出席にあたり、「核兵器のない世界」を目指す談話を発表した。

 かたや菅直人首相は、式典では核なき世界への「先頭に立って行動する道義的責任」を表明したのに、続いて行った記者会見では「核抑止力は引き続き必要と考えている」と述べた。日本の首相にとって8月6日は、原爆の惨害を受けた日本国民、また日本国の代表として世界に訴える大事な日だ。核兵器の抑制や禁止の方向へ政治の重点を向けるようひたすら訴えるべきだった。

 10日には、日韓併合100年にあたっての首相談話が発表された。最近の日韓関係は、人の往来や文化の交流が目覚ましく、緊密になっている。過去を反省・点検する努力も必要だが、未来志向で両国関係の繁栄、提携とアジア太平洋発展のために協力し合うという方向に重点を置くべきだろう。

 そこで提起したいのが、「東アジア協力機構」の結成だ。東アジアの情勢は、欧州連合(EU)などと比べて後れを取っている。まずは、東アジアを主導する日中韓3カ国が提携し、トップ会談を実現して、東アジア協力機構への道筋を早急に話し合うことだ。韓国との提携はその中心軸となる。未来志向の日韓関係の構築が、ひいてはアジア関係や太平洋関係への新しい歴史の流れを作るスタートにもなるだろう。

 一方、国内政治は、昨年の衆院選の結果、本格的な政権交代が初めて行われ、二大政党化の入り口に立った。そして、先月の参院選で民主党が大敗し、再び衆参の「ねじれ」現象が起き、政権は不安定な状態になった。

 当面の国民の関心は、沖縄の米軍普天間基地移設問題が8月末に一定の決着がつくかだ。9月になると、小沢一郎民主党前幹事長の「政治とカネ」の問題をめぐる検察審査会の議決が出てくるだろう。2回目の議決が、1回目と同様「起訴すべき」と出るか。民主党代表選にも影響するとみられるだけに、注目される。

 そして、ねじれの下での本格的な臨時国会が始まる。その際に、政権は日本の長期路線を明確にして、日本政治の本筋を内外に示すことだ。

 その一つには、憲法改正がある。改正のための国民投票法は施行されたのに、衆参両院の憲法審査会がいまだ起動していない。国家の性格と目標を明確にするためにも、憲法改正の論議を国会がおろそかにしてはいけない。

 また、衆参のねじれが原因で政治が遅滞しないよう、各党間の合意で調整する必要がある。その先には政界再編問題も生まれてくるだろう。

 今年の9月は、新しい政策課題やその遂行をめぐって、新たな政局に向け政党内部や政党間での論戦が活発に行われる月となろう。(なかそね やすひろ)

<2010/08/13(金) 東京本紙朝刊 朝1面掲載>

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