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【古森義久のあめりかノート】危うい安倍首相の対中観

衆院本会議で所信表明演説を行う安倍晋三首相=4日、国会・衆院本会議場(春名中撮影)
衆院本会議で所信表明演説を行う安倍晋三首相=4日、国会・衆院本会議場(春名中撮影)

 ワシントンから安倍晋三首相の中国に対する言明を読むと、なんとも奇異に映る。危険さえも感じる。首相自身が日本の安全保障の基軸だと宣言する同盟相手の超党派の対中姿勢とは正反対であり、トランプ政権の対中政策を否定するような観さえあるからだ。

 安倍首相は4日の所信表明演説で中国との「あらゆるレベルでの交流の拡大」を強調した。米国では逆に中国の無法な対外攻勢を抑え、対中交流をあらゆる面で画期的に縮小するようになったのだ。だが米国と比較しなくても安倍首相の言明には無理が多すぎる。首相の対中融和姿勢は1月の施政方針演説での「日中関係は完全に正常な軌道に戻った」という言明の延長だろう。

 だが日本領土の尖閣諸島の日本領海に武装艦艇を恒常的に侵入させ、同諸島の武力奪取の構えさえみせる中国との関係がなぜ「正常」なのか。

 中国は日米同盟に反対し、日本のミサイル防衛など米国との安保協力はすべて抑えようとする。大軍拡による日本への軍事脅威も明白である。国内では「抗日」の名の下に戦時の日本軍の「残虐」だけを拡大して教える年来の反日教育を変えていない。習近平政権は日本の「侵略」の歴史としての盧溝橋事件や南京事件の記念を国家最高レベルの行事に引き上げたままである。

 中国は国内で活動する日本企業にも知的所有権や合弁の扱いなど米国が非難する不透明な慣行を変えていない。まして最近では新疆ウイグル自治区や香港での人権抑圧を顕著にしてきた。安倍首相が演説で熱をこめた人権尊重への明白な背反である。そんな相手との関係がなぜ「正常」なのか。

 習近平政権は日本には微笑をみせ始めた。国内でも反日と映る活動を抑え出した。トランプ政権から全面対決を迫られ、日本との対立を減らして、日米離間をも狙うという戦術である。その証拠に前記のような日本への敵性ある政策の根幹はなにも変えていない。

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