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【単刀直言】原田前環境相 寄り添うだけでは被災地救えぬ

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取材に応じる原田義昭前環境相=19日、国会内(奥原慎平撮影)
取材に応じる原田義昭前環境相=19日、国会内(奥原慎平撮影)

 環境相退任前日の10日、記者会見で東京電力福島第1原発で増え続ける汚染水浄化後の処理水をめぐり「思い切って、(海洋に)放出して希釈する他に選択肢はない」と発言しました。処理水については経済産業省の小委員会で議論されており、所管外について発言するかは正直、悩みました。退任会見のために準備したメモにも処理水のことは触れませんでした。

 ただ、どこかのタイミングで誰かが言わないといけない。記者から環境相としての1年の振り返りを求められ、国益や国家のために役に立つことを言わないといけないと思い、発言を決意しました。何事も1つブレークスルー(突破)するには必ず反発などが起こります。覚悟の上ですよ。

 福島第1原発敷地内の処理水の保管用タンクは数年後には満杯になる。昨年秋、福島第1原発の約900基の保管タンク群を目の当たりにしました。処理水の問題をどうするか、大臣としての仕事の合間に職員や専門家から意見を聞き、勉強を積み重ねてきました。福島第1原発では溶けた燃料を冷やす注水などで放射能汚染水が発生し、汚染水を特殊な装置で浄化処理しています。放射性物質トリチウムは取り除けませんが、十分に希釈すれば科学的安全性は確保できる。韓国など諸外国では処理水は海洋に放出しています。

 原発分野の最高権威である原子力規制委員会の更田豊志(ふけた・とよし)委員長は処理水の海洋放出について「薄めて海洋への放出が最も合理的だ」と述べている。経産省小委員会では、地中深くに保管タンクを埋設する案や、蒸発させてしまう案などが検討されていましたが、専門家から話を聞けば海洋放出以外に解決方法はないとの考えに至りました。

 私の発言に対し、当初、地元の福岡事務所には抗議が来ました。「お前は最後の最後に失言したのか」とね(笑)。でもだんだん私が決意を持って発言したことが分かり、今は「よく言った」という声が多い。隣国の韓国では朝から晩まで私の発言が報じられ、圧倒的有名人になったらしいけれど、難しい問題に勇気を持って発言したと評価する声もあるそうです。

 結論を先送りにしても、処理水の安全性に関する知見が広まったり、風評被害を抑えられたりするわけではない。更田氏も「長く待てば風評被害が小さくなるかといえば決してそうではない」と指摘しています。

 福島の人たちが原発事故後に悩んできたのは知っています。私もこの1年間、何度も現地に行き、地元の人たちと酒を酌み交わしました。寄り添うことは絶対に必要ですが、寄り添うだけでは被災地は救えない。科学的見地も含め、国の立場をしっかり、誠実に説明することが政治家に求められています。福島県民の皆さんの心の悩みや風評被害と、科学的な基準はなかなか折り合えないと思いますが、国が責任を持つスタンスが大切です。

 後任の小泉進次郎さんは福島・小名浜の漁港で私の発言をめぐって漁業者に謝った。私に代わって謝罪していただいた気持ちです。今でも自分の発言は間違っていないと思いますが、小泉さんには重い役割を背負わせてしまった。迷惑をかけたなと思います。

 小泉さんに対する忠告ですか? 前任者が現役の大臣に忠告するなんて聞きませんよ。彼は私の子供の世代ですが、知識、発信力、タレント性といい社会現象になるほどの政治家です。住民と寄り添うという尊いものが根っこにはある。

 今後、処理水の問題に小泉さんがどう向き合うか予測はつきません。彼も悩むでしょう。批判も受けたけれど私がやったことが参考になるならば、ちゃんと見てもらえたらいいですね。(奥原慎平)

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