PR

ニュース 政治

【歴史の転換点から】江戸無血開城の「点と線」(6)西郷と勝 家近良樹教授に聞く(上)西郷の離れわざ

 また、阿川さんのエッセーには鈴木が海軍兵学校長だったさいの教え子が、鈴木校長から『足るを知る者は富む(知足者富)』という言葉を聞いて『非常に感動した』と回想している様子がつづられています。

足るを知る

 何もかも求めるのではなく、『もう十分だ』ということを知っている人間は豊かになる。『老子』にあるそうですが、非常にいい言葉です。そしてこれこそが勝との会談に臨んださいの西郷を説明していると思います。

 西郷がある時期まで『慶喜の首をとらなければ維新の大業は成就しない』と考えていたことは確かでしょう。ところが、それを一変させます。それは西郷が、『ここまで来たら、自分たちが旧幕府方に勝利するのは確実だ。ここで足りたじゃないか、もうこれ以上の犠牲を相手に強い、破滅に追い込まなくてもいいじゃないか』と考え直したからにちがいありません」

 --では旧幕府と終戦当時の日本政府との比較も可能なのでしょうか。

 「それは少し無理があると思います。同じ日本史上の転換点ではありましたが、当時の鈴木首相には事実上、『反撃』という選択肢は残されていませんでした。一方、西郷が江戸に乗り込んでいったときはそうではありませんでした。鳥羽伏見の戦いで一敗地にまみれたとはいえ、旧幕府はいまだ強大な軍事力を保持していましたし、慶喜が『開戦』の号令をかけたら勝敗はどうなるか分からないような状況でした。

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ