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参院選2019特集 政治

【ネット投票の足音(中)】露呈する「紙選挙」の限界 失敗の電子投票、教訓生きるか

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 「紙と鉛筆」による選挙を変える第一歩となる、はずだった。

 今年4月、青森県六戸町(ろくのへまち)。町議選の投票所で投票用紙を手渡された住民がため息をついた。「今回から『紙』に戻ったの?タッチパネルは便利だったのにねぇ」

 町では平成16年から専用のタッチパネル式投票機を使った「電子投票」を導入。紙の投票で悩みの種となる疑問票がほぼゼロになり、開票時間の短縮も達成した。

 「高齢の町民からも使いやすいと好評だった」(担当者)が、昨年、ある理由から電子投票の休止を決めた。統一地方選に合わせて実施される今年4月の町議選からは、15年ぶりに紙の投票に戻した。

 今、全国を見渡しても電子投票を実施している自治体はない。何があったのか。

     ◇

 その前に、日本での投票のIT化に向けた検討の歴史を整理したい。

 自治省(現総務省)が海外事例を基に、電子投票制度の案を提示したのは平成11年。その際、(1)指定投票所で電子投票(2)全国どこの投票所でも電子投票が可能(3)場所を問わないインターネット投票-の3段階で進化させる青写真を描いた。

 14年、第1段階の実現を念頭に、地方選での電子投票を可能にする電子投票法が施行。約2年間で10自治体が電子投票を導入した。ここまでは順調だったが、間もなく事態は暗転する。

 15年7月の岐阜県可児(かに)市議選。サーバーの不具合で1時間以上投票ができず、さらに誤操作により、投票総数が投票者数を上回る事態が起きた。住民との訴訟にも発展し、最高裁で選挙の無効が確定。結果、市は再選挙を余儀なくされた。

 選挙は公正・公平が大原則。失った信頼は戻らず、これを機に、導入自治体が次々と制度の休止や凍結に傾いた。「可児ショック」。関係者は口をそろえる。

 そして最後の実施自治体となっていた青森・六戸町。28年、採算性の問題で機器の更新や供給が困難と供給業者から伝えられた。国内唯一の電子投票の灯火がひっそりと消えた。

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