PR

参院選2019特集 政治

【ネット投票の足音(上)】「紙よりもデジタルを信じる」 エストニアの実験

 今年3月の総選挙の投票率は63・7%。このうち4割以上がネットを経由するなど、ネット投票者数は増加傾向にある。この選挙では、IT行政を批判する右派政党がネット投票での得票を伸ばす“皮肉”もあった。

 カングロ氏が指摘する。「国民がネット投票の利便性に慣れ、後戻りできないということを示した」

■日本と相違点も

 世界から注目を集めるエストニアのネット投票は、そのまま日本でも導入できるのだろうか。

 「10年以上の実績があるエストニアに学ぶところは多い」。情報セキュリティ大学院大学の湯浅墾道(はるみち)教授が解説する。湯浅氏は、若者や投票所に行くのを負担と感じる高齢者の選挙離れ対策になるとして、ネット投票の導入は不可避との立場。選挙結果が迅速に分かったり、投票所運営や開票作業の人員コストを減らせたりする利点もある。

 ただ、日本とは大きく異なる事情もある。

 エストニアのネット投票に必要なIDカードは、国民のほぼ全員が所持。カード1枚でバスに乗れたり、会社登記や納税などの行政手続きも済ませられたりする。対して日本でのマイナンバーカード普及率は今年4月時点で13・0%。「旧社会主義国では身分証の所持は当たり前。人口約132万人の『実験国家』との側面もあった」(湯浅氏)。

 ネット投票のリスクはゼロではない。しかし、なりすましや買収などのリスクは「紙」の投票にもある。湯浅氏は訴える。「半数近くの人が投票に行かないという現実に、誰しもが目をつぶっている。熱心な支持者や動員された人だけが行く選挙は、本当に選挙といえるのか」

 

 第25回参院選で、候補者が舌戦を続けるなか、投票に行きたいと思える空気は醸成されているのだろうか。投票は民主主義の根幹だ。多くの国民が当たり前にネットに接する今、浮上した「ネット投票」。現状と可能性を考えた。

次のニュース

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

参院選ニュース速報 産経公式Twitter

ランキング

ブランドコンテンツ