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【歴史の交差点】安倍首相のイラン訪問 武蔵野大特任教授・山内昌之

 ハメネイ師は、日本の具体的な誠意や米国による譲歩のサインの見返りもなしに、1979年以来厳しい孤立を強いてきた米国との対話を受けいれるほど「やわ」なリーダーではない。安倍首相が相手にした各国首脳では、トルコのエルドアン大統領より情勢を読む力にたけており、ロシアのプーチン大統領と同じかそれ以上に陰謀と挑発の才に秀でている人物なのだ。

 ハメネイ師は日本を介して無条件で米国のペースに乗せられるよりも、これまでのように耐久力や持久力を発揮するお家芸を選んだのだろう。イスラエルのゴラン高原併合を認め、大使館をエルサレムに移したトランプ氏と無条件で対話するのは、イスラム政治体制の生命を自ら絶つに等しいからだ。

 しかし、日本に外交的な成果がなかったわけではない。それはロウハニ大統領だけでなく最高指導者のハメネイ師と会えたことで、西側の指導者としてはシリア戦争の同盟国ロシアのプーチン氏に準じる扱いを受けたことだ。長期政権としての安倍首相の存在感を認知させたともいえよう。これは今後のイラン外交で大きな財産となる。

 トランプ氏との関係を好転させられなかったにせよ、JCPOA(包括的共同行動計画)原メンバーから外されていた日本は、逆にEU(欧州連合)の混乱を尻目に対イラン関係で中長期的に独自交渉の足場を得た戦略的成果は認めてよいだろう。(やまうち まさゆき)

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