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天安門事件30年 中国の国際復帰手助けした日本 国益確保へ問われる戦略

手前から南小島、北小島、魚釣島=沖縄県の尖閣諸島(鈴木健児撮影) 
手前から南小島、北小島、魚釣島=沖縄県の尖閣諸島(鈴木健児撮影) 

 天安門事件後、日本政府は中国の孤立化の回避を訴え、西側の首脳として初めて海部俊樹首相が訪中するなど、中国の国際社会への復帰を手助けした側面がある。中国は現在、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺に連日のように公船を航行させるなど挑発行為を続けているが、当時の為政者はこうした日中関係の姿を、どこまで予測しただろうか。

 天安門事件後、政府は欧米に先駆けて対中制裁を解除し、当時の天皇陛下の訪中を実現させた。中国の銭其●(=王へんに深のつくり)元副首相は、日本が西側の経済制裁を打破する際の「最もよい突破口」となったとし、「天皇がこの時期に訪中したことは、西側の対中制裁を打破するうえで、積極的な作用を発揮した」(『銭其●(=王へんに深のつくり)回顧録』)と明かしている。

 日中関係はその後、旧民主党の野田佳彦政権による尖閣諸島の国有化を機に冷え込んだ。しかし、今の安倍晋三政権は、昨年の中国の李克強首相と安倍首相による相互訪問を経て「完全に正常な軌道へと戻った」(安倍首相の施政方針演説)とみなしている。

 両政府は今年5月に「日中軍縮・不拡散協議」を8年ぶりに北京で開くなど、各レベルで対話を活発化させている。今月28、29日に大阪で開く20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)には、中国の習近平国家主席が就任後、初めて来日する。

 安倍首相は首脳の往来を通じ、両国関係を「新たな段階へと押し上げていく」考えだ。政府・与党内には早くも、習氏を国賓として再び招くことを模索する動きすらある。 

 しかし、明らかに逆行する中国側の動きがある。

 昨年10月に安倍首相が訪中した際、両政府は東シナ海を「平和・協力・友好の海」とする決意を改めて確認した。しかし尖閣周辺では今月3日、中国海警局の公船が53日連続で確認され、尖閣諸島を国有化して以降、最長の連続日数を更新している。

 中国が日本との関係改善を望む背景には、米国との貿易対立の激化もあるとみられ、米中関係が改善すれば、中国が対日姿勢を再び変える可能性も否めない。

 格段に力をつけた相手から実利をとりつつも、本音を見抜いて、いかに長期的な国益を確保するか。そのための対中戦略が求められている。(原川貴郎)

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