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【記者発】日韓「葛藤」、若い世代たちは… 大阪政治国際部・石川有紀

 2カ月ほど前、ある食事会で知り合いの韓国人教授がつぶやいた。「ここまできたら、とことん日韓関係が悪くなったらいいのよ。中途半端に折り合えばまた繰り返すから…」。彼女は30年以上、公私ともに日韓交流に尽力した知日派。口調からこぼれ落ちたやるせなさの一方で、彼女自身、事態は当面打開しないと分かっていたのだろう。

 状況はさらに悪化している。いわゆる徴用工訴訟は韓国政府が対応策を示さないまま、韓国原告団が日本企業の資産差し押さえに動いている。韓国海軍艦艇の自衛隊哨戒機へのレーダー照射問題では、韓国国防省が再発防止どころか「自衛隊がルール違反の低空飛行をした」と議論をすり替え迷走したままだ。

 韓国メディアの報道は、自分で応募した労働者であっても「日帝の強制徴用被害者」と表現されたり、照射が「事実無根」とする韓国軍発表に沿って「哨戒機問題」とされたり。一部新聞は「対立」を意味する「葛藤」という表現を使い「哨戒機・レーダー葛藤」としているが、日韓問題に関しては日本側の主張が正確に伝わることのほうが珍しいほどだ。

 それでも韓国人訪日客の数は右肩上がりで、日本でもコリアタウンがにぎわっており、「民間交流に影響はない」と楽観する向きも多い。それでは、いったい若者はどう考えているのかを知りたくて、取材してみた。内容を昨年12月に朝刊で「未来志向の虚実」(大阪発行版)と題して連載した。

 敏感な問題なので取材が難航するのを覚悟した。韓国メディアの偏見で産経新聞を「極右の」と枕詞(まくらことば)をつけて報じることもあるからだ。ところが韓国の若者たちに「有名な新聞社だ」と歓迎された。まるで拍子抜け。多くの学生が礼儀正しく、率直に語ってくれた。だが取材を進めるうちに、そんな彼らでも、受けてきた教育や報道のためか「日本」への反感や誤解はとても根強いことが分かった。

 国家間の信頼関係が失われれば、民間交流への影響もいずれ出るだろう。だから次代を担う日韓の若者たちは、じっくり語り合って友情を築いてほしい。偏見を植え付けられても、人と人の付き合いのなかで本当のことは伝えられるはずだからだ。

【プロフィル】石川有紀

 平成15年入社。奈良支局、広島支局、大阪経済部などを経て、韓国留学後の30年7月から大阪政治国際部。訪日外国人や日韓関係をテーマに取材している。

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