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【あめりかノート】
米中関係が険悪になると二階氏が訪中…その裏に潜む危険 ワシントン駐在客員特派員・古森義久
米中関係が険悪となり、日米同盟が強化されると、自民党の二階俊博氏が北京に姿をみせる-。日米中の3国関係のうねりを長年、観察していると、こんなパターンがあることに気づく。
「風が吹けば桶屋(おけや)がもうかる」ということわざのような、一見、奇妙な因果関係にみえるが、よく点検すると、きちんとした理屈が通っていることがわかる。
2000年5月、当時運輸相の二階氏は約5千人もの訪中団を率いて北京にやってきた。旅行や観光の業界を動員しての訪中だった。人民大会堂での式典では江沢民、胡錦濤の正副国家主席が登場して歓迎した。明らかに中国側の主導での友好行事だった。
そのころ中国総局長として北京に駐在していた私は、この訪中団歓迎の儀式を目前にみて、それまでの中国側の日本への冷たい態度が急変したことに最も驚いた。
米国の当時のクリントン政権は中国の台湾への軍事威嚇などを理由に対中姿勢を急速に硬化させていた。日本には日米共同のミサイル防衛構想を呼びかけ、同盟強化を進めていた。