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「富士山は国土の象徴だから保全を憲法に書き込む必要がある」 憲法改正をめぐる川勝平太・静岡知事発言要旨
そのとき、第二章第9条を第三章第10条に持っていくという話になる。国民を書き、国土を書き、国民と国土を守る存在としての自衛隊を書く。ただしどのように書くかについては、これから議論しなくてはならない。
現行憲法はいわゆる集団的自衛権を認めていない。しかしその前年に発効した国連憲章では集団的自衛権を認めている。その後につくられた日本国憲法は抑制して(集団的自衛権を)書いていない。さらにその後に日米安全保障条約が結ばれて、国連憲章に基づき集団的自衛権を認めるとうたっている。
その点は憲法学者の中には問題視する人もいる。対外的な日米安保条約と日本国憲法とどちらが重要かと。どちらの意見もあるでしょう。その辺のところを整理しないまま、集団的自衛権を適用するのは当たり前だと言ったときに、集団的自衛権をうたい込んだ国連憲章を知った上で、ああいう日本国憲法の条文にしているということを考えると、これは議論がいると思う。
ただ、自衛隊が国民の防衛と国土の防災に必要な存在であることは確かだ。
富士山は国土の象徴だから、日本国民はこの国土を子々孫々に保全しながら継承していかねばならないと書き込む必要がある。どの国民にとっても国土は大切で、国土が災害に見舞われたときには助けに行くと書き込む。これは前文に書き込んだ方がいいのかもしれないが。国民と国土をともに守るために命がけの人たちがいるということに照らすと、実態に即し、日本の世界に占める位置に即し、われわれが直面している自然災害に即して、(自衛隊を憲法に)明確にうたい込んだ方がいいと、私は前から言っている。