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【天皇陛下譲位】皇室制度を考える 「内閣が陛下おいさめを」 今谷明・帝京大特任教授

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【天皇陛下譲位】
皇室制度を考える 「内閣が陛下おいさめを」 今谷明・帝京大特任教授

今谷明・帝京大特任教授 今谷明・帝京大特任教授

 (公務負担の軽減は)天皇陛下ご在位のまま、2人の皇子がおられるわけだから、公務をほとんどお譲りになった方がいい。天皇陛下の被災地訪問や戦没者慰霊は大変ありがたいが、お言葉だけで十分だ。公務を減らそうと思えば、いくらでも減らせる。

 仮に譲位をすれば、天皇陛下は太上天皇になられるのだろう。そうなると、天皇の権威が太上天皇に移っていく可能性がある。それは国民がどちらを気にするかということ。そうなると権威の分裂が起きる。権威の分裂は平安時代以来、政争のもとになってきた。

 天皇は時間、空間の抽象的支配者で、時間の支配は元号の制定、空間の支配は国郡の制定。これは天皇が決めてきた。天皇は「君臨すれども統治せず」が平安時代からの伝統で、摂政、関白、幕府など、執政に対する正当性の根拠になってきた。そういう歴史と伝統を踏まえて、象徴という言葉を理解しないといけない。

 しかし、それが明治以後、天皇が統治権にも関わるようになった。統治権を総攬(そうらん)する、と。歴史的にみるとこの方が異例で、平安以降の長い歴史の中で天皇自ら政治を行ったのは後醍醐天皇のときぐらい。しかし、これはうまくいかず3年半でつぶれた。天皇はもともと権威がある存在だから、その天皇が政治をやるとなると、汚れ役を引き受けることになる。権威がある方は上に押しいただいて、政治は下の者がやる方がうまくいく。だから、「君臨すれども統治せず」が長い1200年の伝統になっている。(大橋拓史)

 いまたに・あきら 帝京大特任教授。専門は日本中世史。昭和17年生まれ。京大経済学部卒、同大大学院修士課程修了。野田佳彦政権での「女性宮家」創設に向けた有識者ヒアリングにも招かれ、創設に賛成する意見を述べた。著書に「象徴天皇の源流」「戦国期の室町幕府」など。

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