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【書評】東工大教授・中島岳志が読む『保守主義とは何か』宇野重規著 ライバル弱体化で劣えていく「大人の思想」はどう再生すべきなのか

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【書評】
東工大教授・中島岳志が読む『保守主義とは何か』宇野重規著 ライバル弱体化で劣えていく「大人の思想」はどう再生すべきなのか

保守主義とは何か 保守主義とは何か

 保守主義は進歩主義に対する抵抗から生まれた思想である。進歩主義者が人間の理性に過剰な信頼を置き、理想社会の実現という設計主義的ビジョンを打ち出す中、保守はその傲慢な思い上がりに対して冷水をかけてきた。

 人間の理性は無謬(むびゅう)ではない。人間は過ちを犯しやすく不完全な存在だ。そんな人間に完成した社会を作り上げることはできない。能力の限界に向き合う謙虚な姿勢を持たねばならない。それが保守の懐疑主義的な人間観だった。

 しかし、その保守主義がいま揺らいでいる。進歩主義というライバルが弱体化する中、「保守主義もまた迷走を始めている」。革命という急進主義を嫌ってきた保守が、「保守革命」というスローガンを平気で使う。時に子供じみた熱狂で、他者を威嚇する。「保守主義はもはや『大人』の思想とはいえなくなっている」。そんな現代において保守主義はいかなる存在として再生すべきか。

 保守主義の祖エドマンド・バークは、自由を重んじた。バークが目指したのは、権力の専制化を防ぎ、歴史的に獲得してきた具体的な「自由」や「権利」を守ることだった。それは民主化を前提としつつ、秩序ある漸進的改革を進めることによって可能となるものだった。

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