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【習近平の蹉跌】日本よ、南シナ海の対中警備包囲網をリードせよ 山田吉彦(東海大教授)

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【習近平の蹉跌】
日本よ、南シナ海の対中警備包囲網をリードせよ 山田吉彦(東海大教授)

南シナ海・スプラトリー諸島のスービ礁=8月(デジタルグローブ提供・ゲッティ=共同)

 一概に海洋安全保障といってもそれに関わる分野は、多様であり複雑化している。アジア各国ごとに重視する点が微妙に異なる。ベトナムは経済発展を重視し、その阻害要因となる中国の軍事的脅威を問題視している。マレーシア、ミャンマーは密輸、密航。特にロヒンギャ族などの難民の流入、流出の問題。インドネシアは、密漁を中心とした漁業管理の問題を重視している。今回の会議には参加しなかったが、フィリピンは中国による領土、領海の侵略を重要な問題として意識している。シンガポールや日本は、自由航行の保証と安全確保を前面に打ち立てている。さらに、各国からは海洋環境の保全を求める声も強い。

 何よりASEAN諸国と中国の間では、COC南シナ海行動規範の策定を巡る意見の対立もあり、海洋安全保障に向けた動きは、各国ともに必要であることを認識していても、動き出すことが難しい。そこで、海賊対策における国際協力関係の構築で原動力となった日本が中心となり、新たな海洋安全保障のフレームづくりを進めようというのだ。

 日本の提案は「総合海洋管理」という考えに着目し、アジア海域における航行安全の確保、海洋犯罪の根絶、海洋環境破壊の防止などを推進するため、アジアの国々が連携し国際的な海洋安全保障のためのフレームづくりを進めるものである。そして、エリアケーパビリティと呼ばれる「国」という枠組みを超えた「地域力」の強化を目指す。

 海洋管理に関する情報共有センターの設置も求めるものだが、・国際法に基づく海洋管理に関する人材の育成、・ASEAN+3参加国による海洋関連大臣会合の実施、・海洋に関し総合的に情報共有するための専門家会合の実施、・海洋の生物多様性の保全、海洋資源開発などアジア海域の「地域力」を付けるための共同研究-などが提案の中に盛り込まれている。

日本外しで対抗? 中国の暗闘

 提案を通すための最大の障壁は、他国を無視して海洋侵出を進める中国の存在といっていいだろう。実際、事前に行われたワーキンググループの会合では、マレーシア、フィリピンから中国の戦略への非難があり、アジア海域の海洋管理、海洋警備協力の難しさを感じた。

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