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【正論】大国間戦争を回避する集団防衛 京都大学大学院教授・中西寛

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【正論】
大国間戦争を回避する集団防衛 京都大学大学院教授・中西寛

 《個別的自衛権なら安全か》

 アメリカは多数のイージス艦を保有しているが、こうした事態に振り向ける艦船が十分とはかぎらないし、またアメリカが関与を躊躇(ちゅうちょ)する場合に、日本が米艦防護を申し出ることでアメリカの関与を強固にできる。これらは一つの可能性に過ぎず、実際にはさまざまなバリエーションが考えられる。

 憲法学者の違憲論では「個別的自衛権が憲法下で認められる最大限である」といった表現を目にする。しかし、個別的自衛権が集団的自衛権に比べて当然により安全であるとか、軍事的強度が低いと考えることは論理的でない。上述のように、戦後日本の専守防衛はアメリカの攻撃力とセットで可能であった。日米同盟なしの個別的自衛権は現状よりもはるかに強大で、攻撃的な抑止力を必要とするかもしれない。

 たとえば、個別的自衛権合憲論から派生して、核兵器も自衛のためには憲法上は否定されないという政府見解に対して、個別的自衛権を支持する憲法学者はどのような立場をとるであろうか。

 もちろん集団的自衛権は、個別的自衛権と同様に乱用される危険があるし、実際に乱用もされてきた。しかしその害悪は、集団防衛体制が第二次大戦後、破滅的な大国間戦争を回避する上でなした貢献との釣り合いにおいて評価されなければならない。(なかにし ひろし)

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