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【産経抄】
6月28日

 「鬼の平蔵」と呼ばれたその人が言う。「善事をおこないつつ、知らぬうちに悪事をやってのける…これが人間だわさ」と。火付(ひつけ)盗賊(とうぞく)改方(あらためかた)の長谷川平蔵が作家、池波正太郎の手を借りて『鬼平犯科帳 谷中・いろは茶屋』に残したせりふである。

 ▼政治家にとって勉強会とは、国政への理解に厚みを加える「善事」の場なのだろう。折しも、難解極まる安保関連法案などを抱えた今国会だ。ベンチ裏で開いたミーティングで、本音の議論を沸騰させて何が悪いか。そんな気分も出席した議員たちにはあったろう。

 ▼安保法案を批判する報道に対し「こらしめるには広告料収入をなくせばいい」との発言が、25日に開かれた自民党若手議員の勉強会「文化芸術懇話会」で出たという。矢の向かう先がどこであろうと、「善事」にかこつけた議論の暴発を見過ごすわけにはいかない。

 ▼この手の脅しに膝を折る報道機関は、わが国にはない。安保法案を「戦争法案」とねじ曲げるマスコミを利するだけだろう。選良が道理ではなく、無理をもって「論」を封じる。これを「善事」と呼ぶのなら、審議阻止を腕力に訴えた民主党とどこが違うというのか。

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