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自衛官の医療行為拡大 政府 後方支援、法改正を視野

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自衛官の医療行為拡大 政府 後方支援、法改正を視野

 政府が、他国から武力攻撃を受けた有事などに際し救急救命士の資格を持ち負傷者搬送に従事する自衛官が担う医療行為の範囲を拡大する方向で検討に入ったことが27日、分かった。重傷の隊員を医師の資格を持つ医官が待機する安全な地点まで搬送する事態が生じた場合に、人命に関わりかねないと判断。第一線の救護能力を向上させ、迅速な後方支援態勢を整備する。自衛隊法や救急救命士法の改正も視野に厚生労働省や関係団体と調整する。

 現行の救急救命士法は、医師の指示の下で救急救命士に(1)心肺停止した負傷者の気管内にチューブを入れて気道を確保(2)輸液-などを認めているが、呼吸確保のための気管切開といった高度な技術が必要な医療行為は認めていない。有事でも、救急救命士の資格を持つ自衛官は同法の範囲内の医療行為しか行えない。

 関係者によると、米軍が2001年以降、アフガニスタン戦争やイラク戦争で一部の衛生兵に気管切開などの医療行為を認めたところ、止血など従来の応急処置しかできない場合に比べて兵士の死亡率が低下する効果があった。

 防衛省は米軍のデータを参考に、自衛隊各部隊の衛生科に所属する隊員が気管切開や、胸に針を刺して水や空気を外に排出する治療を行えるような特例措置を設けられないか検討を始めた。

 自衛隊の海外活動拡大で隊員が負傷する可能性が高まっていることに加え、中国や北朝鮮の脅威増大に備えて「実戦」を想定した後方支援態勢作りを急ぐ狙いがある。

 自衛隊の衛生科隊員は全国に約9千人いる。うち救急救命士の資格を持つのは約700人。各地の自衛隊部隊や関連施設に配置されているケースが多い。一方、医師の資格を持つ医官は約800人とされる。

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