産経ニュース

【国益より憲法-検証・内閣法制局(上)】首相に逆らう法の番人「憲法守って国滅ぶ」

ニュース 政治

記事詳細

更新

【国益より憲法-検証・内閣法制局(上)】
首相に逆らう法の番人「憲法守って国滅ぶ」

 法制局の圧力は集団的自衛権だけではない。時計の針を平成24年7月に戻す。

 同年の通常国会の一つの焦点は、自衛隊の「駆けつけ警護」の扱いだった。自衛隊の宿営地外にいる国際機関職員や非政府組織(NGO)の民間人らが襲撃された場合に自衛隊が駆けつけて行う任務である。

 7月12日の衆院予算委員会で、当時の首相、野田佳彦はこう明言した。

 「駆けつけ警護(を可能にすること)も含めて政府内で最終調整している」

 「駆けつけ警護」は国際的には常識的な任務であり、首相自らが発言した意味も重い。ところがわずか13日後、政府・民主三役会議は法案提出見送りを確認した。法制局の徹底的な抵抗で断念したのだ。

 「あなたたちが守ろうとする国益って、一体何なんですか!」

 内閣法制局幹部と向かい合った首相補佐官の長島昭久は、こんな疑問をぶつけた。幹部は平然とこう言ってのけたという。

 「憲法ですよ」

 首相の意向も国際的な要請も一顧だにしない相手に、長島の脳裏には「憲法を守って国滅ぶ。長官の首を切るしかないのか」との思いがよぎった。

 内閣法制局の実態は、定員77人と極めて小さな組織だ。長官をトップに次長、第1~4部と長官総務室がある。だが、政府が国会に提出する全法案、国会承認を必要とする条約は法制局の審査を経なければならず、隠然たる力を持つ。

 4部のうち筆頭格が第1部で、憲法や法律の解釈など「意見事務」を担う。2~4部は「審査事務」といわれ、各省庁を分担して法令審査に当たる。各部長は各省庁の局長級に相当し、部長の下には課長級の「参事官」が置かれている。

 内閣法制局の勤務経験者は過酷な業務に「もう二度と行きたくない」と口をそろえる。審査を受ける各省庁の法令審査担当サイドも、思いは同じだ。

 みんなの党の前幹事長、江田憲司も通産(現経産)官僚時代に法令審査担当を経験した。法令審査の作業は午前10時から日をまたいで翌日午前2、3時まで及ぶことはざら。そのまま役所に帰って法制局に指摘された“宿題”に取りかかり、午前10時に再び法制局に持っていく。

窓がない役所の書庫で「一瞬、おれは死んだんだと思った」

「ニュース」のランキング