全ドローンの飛行計画、情報共有サイトに登録義務化 - 産経ニュース

全ドローンの飛行計画、情報共有サイトに登録義務化

ドローンの飛行計画は国土交通省のシステムへの登録が義務化された
 ドローン(小型無人機)の安全対策をめぐり、国土交通省が飛行を許可した全てのドローンについて、飛行前に日時や場所、高度などの飛行計画を同省が運営する情報共有サイトに登録するよう運航者側に義務付けたことが19日、分かった。全てのドローンの飛行計画が公開されることになり、事故防止のほか、摘発が相次ぐ無許可飛行機体の識別にも活用が期待される。故意に登録しないなど悪質な場合は、飛行許可の取り消し措置を検討する。
 同省は今年4月、ドローン同士の接触や有人機とのニアミスといった事故の防止策として、ドローンの運航者が飛行日時や場所、高度などの情報を登録する情報共有サイト「飛行情報共有システム」を開設した。
 登録すると地図上に公開され、誰でも閲覧可能となる。ただ、登録は任意のため利用者が増えず、同省は航空法に基づく通達を改正。7月26日以降に許可を受けた機体を対象に登録の義務化に踏み切った。
 同省の飛行許可は、運航者側が飛行の都度に申請する「個別申請」と、1度の申請で最長1年間にわたり複数回の飛行が可能となる「包括申請」の2つに大別される。包括申請の飛行実績は3カ月ごとの事後報告にとどまり、事前に飛行状況の把握はできなかったが、今後は全機体の飛行計画をあらかじめ確認できるようになる。
 ヘリコプターなどを運航する事業者は、サイトの情報を基に、ドローンの飛行空域を避けたルートを設定できるようになり、接触事故やニアミスなどのリスク軽減につなげられる。
 ドローンの運航者側が故意に登録しないなど悪質性が確認されれば、同省は包括申請の許可を取り消す措置を検討。さらに再発防止策などを求めることで、次回以降の審査のハードルを上げる。
国土交通省が運営するサイト「飛行情報共有システム」では、地図上に紙飛行機のマークでドローンの飛行予定場所が表示される。クリックすると、それぞれの飛行日時や高度などが閲覧できる
 同省によると、ドローンの飛行許可申請数は平成30年度、3万6895件に上り、28年度(1万3535件)の約2・7倍に急増。ドローンによる事故やトラブルも年々増加しており、今年4月には北海道旭川市の上空約150メートルでドクターヘリの真下を操縦者不明の機体が通過するなど、ニアミスとみられるトラブルも報告されている。
 ドローンをめぐっては、外国人旅行者らによる無許可飛行が深刻化。来年の東京五輪・パラリンピックでは撮影用などの正規ドローンの飛行も想定され、違法機と正規機の円滑な識別が課題となっている。
違法機排除にはなお課題
 東京五輪・パラリンピックのテロ対策では違法ドローンの排除が課題となり、飛行計画の登録が義務化された国土交通省の飛行情報共有システムもその一助になることが期待される。警察当局は摘発に役立てたい考えだが、実際に不審機を発見した際の対応には課題も残る。
 警視庁は不審機を発見した場合、航空法に基づく許可を得ているか国交省に照会しているが、結果が出るまで数日間を要している。捜査関係者によると、違法機と確定できず現場対応に遅れが出る恐れがあるほか、外国人旅行者による無許可飛行で結果判明前に帰国されることもあり、捜査上の支障があるという。
 警察当局はソフトターゲットになりうる繁華街などでの円滑な識別に向け、国交省側に早期照会が可能な仕組み作りを要請。警視庁幹部は今回の同システムへの登録義務化について「一歩前進だ」と評価し、活用方法を検討するとしている。
 五輪会場ではドローンは許可制になり、大会組織委員会と警察が密に連携することで識別は比較的、容易になるとみられる。警視庁は、違法機を網で捕獲する大型ドローンなどを装備した「無人航空機対処部隊」を持ち、妨害電波で飛行を不能にするジャミング(電波妨害)装置も所有する。だが、複数の機体が一斉に飛来した場合などに完全に防御するのは依然、困難とされる。
 警視庁はドローンの操縦方法を学ぶスクールなどに対し、不審な利用をほのめかす受講者がいた場合に情報提供を要請。訪日外国人に対して違法飛行への警告を行う啓発ポスターを空港や駅、宿泊施設などで掲示しており、警視庁関係者は「あらゆる施策や法令を駆使し、違法機の排除を進める必要がある」と話す。