韓国、文大統領訪日へ布石 東方経済フォーラムに知日派を派遣、対日改善目指す

 
韓国の李洛淵首相(左)の表敬を受け、握手する安倍晋三首相=11日、ロシア・ウラジオストク(代表撮影)

 【ウラジオストク=名村隆寛】露ウラジオストクで11日に始まった「東方経済フォーラム」に、韓国からは文在寅(ムン・ジェイン)大統領の代わりに李洛淵(イ・ナギョン)首相が出席し、安倍晋三首相と会談。会談は、小渕恵三元首相と金大中(キム・デジュン)元大統領が合意した「日韓パートナーシップ宣言」から来月で20周年を迎えるのを機に、対日関係改善を図る韓国側の意気込みがあらわれたものとなった。

 約40分間の会談を終えた李首相は「安倍首相との会談は終始いい雰囲気だった」と満足そうに語った。会談冒頭では「安倍首相が官房長官就任前の2005年に訪韓した際、ソウルで焼酎を酌み交わした」と切り出し、場を和ませた。

 李氏は韓国紙の東京特派員経験もある文在寅政権きっての“知日派”だ。日本政府も認めるところで、李氏の派遣は会談に前向きに作用したようだ。

 日韓関係は慰安婦問題などにより、修復していない。互いにパートナーシップ宣言20周年を節目とした未来志向の関係発展を目指しているが、特に韓国側ではその思いが強い。

 慰安婦問題などのかたわら、韓国では今、空前の日本ブームで訪日観光客は史上最多を更新し続けている。また、若年層の失業問題が深刻な韓国では、日本での就職が人気で韓国政府も後押ししている。慰安婦問題の解決を認めない韓国だが、一方で日本は頼れる大切な隣国でもある。

 韓国政府は、パートナーシップ宣言20年の来月にも文大統領の訪日を実現させたい意向で、今回の会談でその布石を打った形だ。日本政府も文氏の訪日に異論はない。

 安倍首相は李氏に「日韓関係に長く携わってきた役割に期待している」と伝え、「日韓関係の前進には“困難な問題”の扱いが極めて重要だ」と表明。慰安婦問題をめぐる日韓合意の履行を暗に求めた。

 これに対し李氏は「日本側との協力で賢明な解決をしていく」と伝えた。ただ、現状は「歴史問題と経済協力は切り離す」という文政権の対日姿勢に変わりはない。慰安婦問題を棚上げしたまま、韓国ペースで関係改善を図る可能性がある。