災害対策で石破茂・元幹事長「防災省は復興庁のリニューアルも」 安倍晋三首相「首相の権限でスピーディにやれる」

自民党総裁選・共同記者会見詳報(5)(完)
自民党総裁に立候補した安倍晋三首相(右)と石破茂氏。記者会見で握手した=10日午前、東京都千代田区(飯田英男撮影)

 --防災・災害対応について聞く。6日に北海道で発生した胆振東部地震は大きな被害をもたらした。今回の震災で見えた課題や今後の災害対策について、どのような方針を訴えていく考えなのか

 石破茂元幹事長「全道停電ということが、あれだけ続くと思わなかった。やはり(電源が1つの発電所に)集中してきたこと、それはいろんな事情があることよく承知している。しかし、なんであんなことが起こるのか。やはり電源というのは、分散をしていかなければならないし、火力発電所が1回機能を停止すると回復するまでにすごく時間がかかる。特に、北海道のいろんな状況を考えたときに、今、苫前(とままえ)町とかで風力発電が進んでいるんだが、再生可能エネルギーというものを広大な北海道で、いかにして分散していくかっていうことをやっていかなければならない」

 「電源が落ちたんでスマホの充電が全然できなかった。ホームセンターに長蛇の列だった。これは一体どういうことなんだ。ソーラー発電の充電器というのは、きちんと普及しとかなきゃいかんですね。そして、どこでもブルーシートは十分でしたか。179市町村、北海道にはあるんですけど、どこも対応態勢は十分でしたかといえば、それはかなりばらつきがあったと私は思っている。そういうものが、ある町はうまくいったが、ある町はなかなかそうはいかなかったということがあってはいけないので、そこをきちんと同じようにしていくってことも大切なことでしょう」

 「北海道の場合、私はしばしば行くのですが、農業、林業、水産業に対する被害をこれから見ていかねばなりません。特に畑作専業地帯などございますので、それは内地の場合とはかなり違っているんだろうと思う。あるいは、これから風評被害、北海道は今一番いいシーズンに入る。これをどうやって最小限にするかと、ただでさえ厳しいJRをどのようにしていくかということは考えていかねばならないことだと思っています」

 「JR北海道どうするかは、緊急の課題だと思っているし、これからインバウンドを増やしていく上において、必要な交通インフラだと思っています。北海道特有の事情がいっぱいあるのだが、それに対応しなきゃいけないっていうことの、やはり防災省を作るのは平時から必要なことなんでしょう。実際、そういうことが起こって、どう対応しますか。専任の大臣で、北海道なら北海道の事情というものをよく知った人たちが、平素からこういうことが起こったらどうするということを考えておかなければいけない。179市町村、同じような体制を整えていかなければいけない」

 「そのためにも、全部をきちんと見られる専任の大臣、専任のスタッフ、能力の高い防災省というものを作っていく。それは復興庁を発展的にリニューアルするという形が取られるかもしれない。北海道特有の事情と、そして、また日本全体と合わせて答えを出してまいります」

 安倍晋三首相「今回の北海道、東部胆振地震への対応においては、やはり一番大きな問題は、大規模な停電が起こったということです。電力の多くを苫東厚真火力発電所に頼っていました」

 「北海道と本州を結ぶ電力の融通は、例えば九州と本州、あるいは四国と本州を結ぶ融通に比べて格段に少ない。60万kw(キロワット)でしかないという問題、これは近い将来で増やしていきますが、そういう意味においては、まさに電力インフラについて総点検していく必要が、北海道だけではなくて、全国もう一度、総点検していきたいと思います」

 「北海道については、来年3月に石狩のLNG(液化天然ガス)が立ち上がりますので、50万kw以上いく。そして60万kwの融通が、90万kwぐらい上がってまいりますが、さらにしっかりとしたものにしていかなければならないと考えております」

 「そして、大切なことは国土の強靱(きょうじん)化をしっかりと進めていくことだろうと思います。この電力のインフラもそうですが、関空の問題もありましたね。空港などの重要な交通インフラについても、全て再点検をしなければならない。関空については来年G20サミット(20カ国・地域首脳会議)で多くの人が空港を使うことにもなるわけでありまして、セキュリティー上どうか、こうした災害に対して、大丈夫かということについて、しっかりと強靱化の取り組みを進めていきたいと思います」

 「そこで、さまざまな課題がありますが、要は災害が起こったときに全ての大臣が、防災担当相であるという自覚を持つことが大切です。例えば、食料については農林水産相が担当します。しかし、それを送らなければいけない。これを送っていくトラック業者については国交大臣がすぐに手配をしなければならない。病院などは厚生労働相、水道も厚労相であります」

 「そして、ときにはですね、コンビニの商品が足りなくなりますと、みんな不安になります。これを送る。これは、普通のトラックだけでは難しければ、自衛隊のトラックも活用して、皆さんに安心していただくということも大切。また、クーラーをプッシュ型で送りました。割と早く送ることができたんです。これは、経済産業省が今までの関係を活用して、それぞれの事業者にお願いをして、日頃の関係があるからできたんだろうと思います」

 「防災省というのも1つの考え方として一考に値するわけでありますが、そういうプロの集団を全てスピーディーに糾合できるのは、権限を持った首相だけであります。防災省を作っても、自衛隊を動かす、あるいは海上保安庁を動かす、厚労省を動かすということは、首相が指示をしなければなかなか動きませんから、そこのところをどう考えるかということなんだろう。要は中身なんだろうなと思っております」

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 --憲法改正について安倍首相は任期3年の間に自衛隊明記の案を必ず実現させたいという決意があるのか。石破氏には、2項を全面改定する案を主張しているが、総裁になった暁にはどう扱うのか

 安倍首相「はい。この機会でありますから、石破さんが先ほど説明されたことにちょっと反論、政府の立場として反論させていただきます。交戦権っていうのはですね、相手の兵力を殺傷したり破壊したり、捕虜をとったり、拿捕(だほ)したり臨検をしたりするという、国際法上、有する権利の総称である。これが政府の確立をした解釈であります。一方、日本は自衛権は行使できると、これは砂川判決も示しておりますが、まさに国家固有の権能として、自衛権は行使できると、その中での必要最小限度でありますけれども、武力行使はできるということであります。この自衛権については、ハーグ陸戦条約上も、ジュネーブ条約上ももちろん、何でもやっていってはなりませんから、それが制約がかかっているということであります。それが政府の公式見解であります」

 「日本もこの条約に加盟をしておりますから、捕虜、いわば自衛隊は、国内の憲法上ですね、いわば軍隊ではないとこういう見解をとっておりますが、外国から見れば、それは軍隊であるということはこれは明確であり、条約に日本は加盟していますから、日本は当然ですね、その捕虜となれば捕虜としての扱いを受けるということでありまして、ジュネーブ条約上あるいはハーグ条約上のさまざまな権利は行使できるというのが政府の考え方であります」

 「そこで、任期中にもし当選できてあと、3年でということだろうと思います。そこは、もちろんそう簡単なことではないということは、私はよく分かっております。国民投票、これ、石破候補がおっしゃったように、国民の皆様の理解が進まなければそう簡単ではありませんが、しかし国民投票に付すことによって、みんな必死で、これはこの憲法について訴え、全国で党員が地方議員も含めて訴えていくわけでありますから、そこで急速に議論が広がり深まり、ご理解が進んでいくことも十分にあるのかなと私は思っております。その意味におきましては、私が責任を持てるのは、もう私は、今回しか総裁選挙に出れませんから、あと3年で、チャレンジをしたいと考えております」

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 石破氏「私はぜひ安倍総裁から直接国会議員に対してお考えを承りたいと思っています。昨年首相のご意向が示されましたが、残念ながら実現を見ておりません。6年前の総裁選において、安倍候補と私と一緒に戦いました。そのときに私は9条についての考え方は全く一緒です、ということを申し上げました。それは総裁が幹事長当時におっしゃっておられたこと、それは私ども全く一緒でしたから。それがなぜ変わられたのか。どうしてそのような考え方になられたのか。議論というのは、それに対して質問があり、提起をした人がお答えになる、それで議論なんです。一方的にお話しされて『わかりましたか』ではない。そのような機会を総裁は去年、設けるとおっしゃっておられたので、ぜひお願いをしたいと思っております」

 「じゃあお前ならどうすんだってお話ですが、それは国民一人一人ご説明をしていかなければなりません。それはどういうことか。国内法的には軍隊じゃないが、国際的には軍隊だと、一体これはどういうことなんですか。それは、自衛隊は国の独立を守り、国際法に従って行動する組織ですよというふうにきちんと書くべきであるということを本当に丁寧に誠実に説明してきたかということなのです」

 「どうせ分からないだろうとか、そんな話ではない。今でも読売新聞の世論調査だったと思いますが、2項の改正というものに改正しなくてもいいという人よりも多くの支持が集まっている。きちんと説明して、国民の皆様方、分かっていただける英知を持っているのであって、われわれはその誠実な努力なしに憲法9条の改正をするべきだと思っていない」

 「同時に、あの戦争の惨禍を体験された方がおられるうちにやりたい。戦争を知らない者だけでやっていいと私は思わない。ですから時限性はあるんです。時限性はあるからこそ、自民党300小選挙区、参議院にも支部があり、そしてまた比例区の支部もある。そこできちんとご説明をする努力をする。それが一番急ぐんではありませんか。誠心誠意向き合うってことが一番急ぐんではありませんか」

 「自衛隊を合憲だと思っている人は9割。自衛隊に好印象を持っている人は9割。前とは全く違うんです。僕のお父さん自衛官ですと誇りを持っている子供たちはいっぱいいるんです。何をしなきゃいけないか。それは、必要最小限だから、限度だから戦力じゃない。その判断って誰がするんです。どうやって必要最小限度かどうか判断するんですか。国際的には使えるんですか交戦権が。国会答弁は、それは憲法に使えないって書いてあるから自衛行動権って言ってるんです。そういう使い分けをやっていいと私は思わないんです。誠実に説明をする、そのことに努力を尽くします」=終わり