【自民党総裁選・共同記者会見詳報(3)】憲法改正で安倍首相「与党をはじめ多くの理解を」 石破元幹事長「戦争を知らない世代だけで9条改正はよいと思わない」 - 産経ニュース

【自民党総裁選・共同記者会見詳報(3)】憲法改正で安倍首相「与党をはじめ多くの理解を」 石破元幹事長「戦争を知らない世代だけで9条改正はよいと思わない」

自民党総裁選で、記者会見する安倍晋三首相(右)と石破茂氏=10日午前、東京都千代田区(飯田英男撮影)
 --安倍晋三首相に伺う。前回、新三本の矢を訴えて再選したが、この3年間、どのように政権を進めてきたのか。3年間を自分で評価すると何点か。石破茂元幹事長は「同じ政党であれば政策の方向性は同じだ」と言っている。スピード感を上げるために具体策はあるのか。
 石破氏「同じ党だから、目指す方向性が違うわけがないということであります。いかにして経済を再生し、そして、この人口急減社会を乗り切り、日本国の独立と平和を維持し、次の時代に良い日本を残すか。全く方向性は違いません」
 「じゃあ、どのようなスピード感で臨むのかということですが、経済の改革についてはいかにして個人所得を上げるか。企業は史上最高収益になっただろう。しかし、個人の所得は上がっていない。これを上げるためにどうするのだ、という仕組みを作って、原因を究明して、いかにして生産性を上げ、所得を増やすかということの政策をすぐに打ち出していかなければならないと思っています」
 「政府がお願いしたから給料が上がる。それは、私はおかしいと思っていましてね。上がるにこしたことはないです。結構なことです。しかし、企業がいかにして生産性を上げ、いかにして付加価値を上げ、働く人たちの給料を上げていくのか。そのメカニズムが効いていかなければ、それはできませんからね。その伸びしろが地方や中小企業や農林水産業に多くあります」
 「消費税も絡みますが、いかにして社会保障を改革するかというデザインができなくて…。消費税は主に社会保障に当てられるものです。どう変わっていくのかということは給付を切り下げるというのが目的ではなくて、いかにして一人一人の幸せを実現するかということなのです」
 「そして、消費税を上げて、給付を切ればいいなぞというのは、そんなものは政治ではない。いかにして消費税が上がっても、それに耐えられるような個人所得を確保するかということですよ。いかにして一人一人の幸せな医療であり、介護であり、年金であり、要介護になって、ものすごくお金がかかる。病気になってものすごくお金がかかる。それよりは病気にならない。要介護にならない。そちらのほうがよっぽど幸せだし、コストとしても医療や介護にかかるものよりは、それはより低い負担で、より多くの幸せを得ることができる」
 「社会をどう設計するのかという社会保障の改革と、消費税率の引き上げはあくまでセットなのであって、『10%まで上げます、そこから先は皆目分かりません』みたいなことであってはだめなんですね。どうやってその負担を少なくするか、どうやってその社会を作るか。『いやいや、ヨーロッパは25%だよ』とか、そういった話ではなくて、いかにして負担を最小にし、幸せを最大にするかというきわめて困難な課題だけど、それの答えを出すのが政治だと私はそのように思っております」
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 安倍首相「まず新三本の矢でありますけれども、まず、ひとつはGDP(国内総生産)最高の600兆円を目指す。まさにそれに向かって、われわれ5年半前と比べて60兆円GDPが伸びています。5年半前も改定値で計算して純粋に60兆円伸びているということであります。しっかりと2020代ごろに600兆円を実現したいとこう考えています」
 「ちなみに、国民総所得50兆円を取り戻しますとわれわれ、政権奪還の時にお約束したんですが、これはもうさらにプラス15兆円で65兆円。われわれは政権奪還後増やしているということを併せて申し上げておきたいと思います」
 「そこで、介護離職ゼロということですが、これはなかなかすぐに成果が出てくる課題ではございませんが、今、直近での数値を見ますと、この介護をしながら、仕事をしている方、60万人実は増えているんです。この5年間で増えていますが、介護離職は減少しています。60万人増えているにもかかわらず、介護離職が減少しているということは申し上げておきたいと思います。安倍政権において5.1万円の処遇改善を行いましたので、2020年代初頭までに50万人分の受け皿を整備していきたいと思っています。そして介護休暇の取得促進などの働き方改革を行っていきたいとこう思っています」
 「そして、それと希望出生率1.8に近づける。これは、なかなか困難を極めているのは事実でございますが、フランスにおいても0.3引き上げるのが20年間かかったわけでございまして、その中で子供を持たない理由として、やっぱり教育にお金がかかるという人が非常に多いわけでありまして、だからこそ、われわれは来年から消費税を引き上げた段階で幼児教育の無償化を行います。再来年の4月から真に必要な子供たちに対する高等教育の無償化を行っていく。その意味で、全世代型の社会保障制度に代えていくこともですね、出生率を上げていく上においてたいへん大きな意味を持ってくるだろうと思いますし、また、今、いわゆる『M字カーブ』というのは安倍政権になってほとんど解消されてきています」
 「そういう意味におきましては、だんだん、お子さんを持っても働くことができる、働きながら子育てもできる、という環境ができつつあるのかなとこう思っておりますが、さらにしっかりと対応していきたい。で、直近の数字で10年ぶりに待機児童が減ってきたりという数字も出てきました。さらにしっかりと政策を進めていきたいと思っています」
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 --安倍首相は「憲法改正案を次の国会に提出できるように取りまとめをすべきだ」という発言を繰り返している。次の国会というのは秋の臨時国会を指しているのか、来年の通常国会を指しているのか。石破元幹事長に伺いたいのは、緊急事態条項の新設、参院の合区の解消に関して秋の臨時国会からでも、すぐに議論を加速して取りまとめを急ぐべきだという考えなのか
 安倍首相「憲法改正というのは普通の法律と違うわけでありまして、普通の法律は衆院、参院で過半数を取れば成立します。憲法改正は衆院、参院、それぞれ3分の2の発議によって国民投票に付されるわけであり、本番は国民投票です」
 「しかし今、憲法が制定されて以来、1回も国民投票がなされていないわけであります。つまり、国民の皆さんにとって、憲法を自ら権利を行使する場が今までなかったんだろう。賛成にしろ、反対にしろですね。その意味におきましては、まさに国会議員が国民の皆様の本来の権利を行使させないということになっているのであれば、それは無責任のそしりは免れないんだろうと思います」
 「そもそも、自由民主党は憲法改正、党の基本的な方針として掲げて60年以上経っているわけであります。そこで、スケジュールありきじゃないかという批判もあるのは承知をしているんですが、第一党の自由民主党が一番それは大きな責任を担っているんだろうなと思っています。その自由民主党の私は、総裁、党首として一定の目標を掲げなければいけない。でも、それは一定の目標であり、必ずそれをやらなければいけないという指示ではなくて、一つそういう目標で、みんな頑張ろうよと、こういうことを申し上げているわけであり、党において、しっかりと目標を達成することができるかどうかということについても議論していただければと思っております」
 「では、いつの国会なんだ。次の国会は、秋の臨時国会を開催するということはまだ決めておりませんが、秋の臨時国会を与党とも相談して開催するということになれば、秋の臨時国会を目指して議論を進めていただきたい。拙速にやるということを全く言っているわけではございません」
 そして、条文。4項目の条文につきましては、条文イメージについて(憲法改正)推進本部で決定しました。そして、党大会でそれを示したわけでございます。たしかに、まだ総務会決定にはなっておりませんが、今、自公政権においては、ほとんどの法律についてですね、基本的に、公明党と協議をした後に、両党がそれぞれ最終的に検討するということになっておりますので、なるべく多くの公明党、与党はもちろんでございますが、なるべく多くの党の皆さんに賛成していただきたいということで、自民党でガチガチにしたわけではなくて、いわば条文改正のイメージにとどめているということであり、ぜひ、与党をはじめ多くの皆様のご理解をいただければと、こう思っております」
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 石破氏「緊急性の高いものからやりたいと申し上げました。来年の参院選に合区の解消は間に合いませんでした。この合区の解消をやるために、わが党として参院が6年の任期が保証されているということ。そして、高い見識を持っているということ。それを最大限に生かす形で、地域の特性あるいは少数意見、この反映の院として、さらに大きな役割を果たすべきだということでなければ、合区の解消はできないことになっています。これ急がないと、4年先に次の参院選は来るわけです。また定数を増やしましょうみたいなことが国民の理解を得られるとは到底思えない。これはものすごく急ぐと私は思っています。それが第1」
 「第2は、これも党で決めたことですが、災害対策基本法にある条文が本当にきちんと機能するかというと、いまだに一度も使われたことがない、緊急事態の布告もね。あるいは物資の統制もね。それは、憲法にそれをきちんと保証する条文がないから。個人的な基本的人権は最大限に尊重するということは徹底した上で、そういうものをやっていかないと、大災害に対応できない」
 「じゃあ、9条どうなんだって話ですが、私、ずうっと長いこと国会で答弁に立ってきました。自衛隊違憲じゃないかって議論は一度もなかった。むしろ問われたのは、この船、必要最小限度なんですか。この行動は交戦権に当たるんですか。そういう議論は何度も何度もありました。必要最小限度だから戦力じゃないよとか。国内法的には軍隊じゃないけど国外的には軍隊だよって。そんなこと聞いて誰かわかりますか。なんのことだか分かりますか。私は自衛隊という名称はそのままでいい。国民にこれだけ定着しているんだから。きちんと書かなきゃいけないのは、国の独立を守る組織です。国際法にのっとって行動する組織です。このことをきちんと書くべきなのであって、今、違憲だって自衛隊思う人が1割です。自衛隊に良い印象を持っている人は9割です」
 「自衛隊の子供たちが、君のお父さん自衛官なんだってね、誇りを持って胸を張る時代です。必要なことは何なのか、そこに向けて丁寧に、丁寧に、丁寧に説明をしていかなければなりません。理解ないまま、国民投票なんかかけちゃいけません。それが自民党のやるべきことだし、あわせて戦争を全く知らない世代だけで9条を改正していいと私は思わない。戦争の惨禍を経験された方がおられるうちにやりたい。誠実な努力を着実にやっていく上で、初めてそれが俎上に上るのだ、私はそう思います」