【自民党総裁選】総裁選は権力闘争 現職との対決は15年ぶり 過去には「さわやかな戦い」で政治生命絶たれた例も… - 産経ニュース

【自民党総裁選】総裁選は権力闘争 現職との対決は15年ぶり 過去には「さわやかな戦い」で政治生命絶たれた例も…

 言わずもがな、自民党のトップを選ぶ総裁選は、日本の首相を決める争いだ。6年ぶりの選挙戦となった今回は15年ぶりに現職首相である総裁に「新人」が挑む権力闘争ともいえる。過去には、敗れた挑戦者がその後に政治生命を絶たれる熾(し)烈(れつ)な戦いを演じてきた。
 現職に挑んだ総裁選で象徴的なのは、再選を期した小渕恵三氏が加藤紘一氏らを下した平成11年の選挙だ。当時「将来の首相候補」と呼ばれた加藤氏は、小渕氏の不出馬要請を袖にし、「さわやかな政策討論」を挑んだ。これが小渕氏の逆鱗(げきりん)に触れた。
 総裁選の投開票を終えた2人は笑顔で握手を交わした。しかし、小渕氏は後に電話で加藤氏に「君は僕を追い落とそうとしたじゃないか」と言い放ち、加藤氏や側近議員を徹底的に干した。加藤氏は翌12年、野党が提出した森喜朗内閣不信任決議案に同調しようとした「加藤の乱」を起こし、不発に終わると、二度と首相候補と呼ばれることはなかった。
 現職首相の壁は高く、厚い。選挙戦となった総裁選は過去26回。うち現職首相が立候補したのは11回で、敗者は昭和53年の福田赳夫氏しかいない。福田氏は再選に自信を見せたが、国会議員による「本選」を前にした党員・党友参加の「予備選」では、田中角栄元首相の強力な支援を受けた大平正芳氏が1位を獲得。福田氏は「天の声もたまには変な声がある」と述べ、本選を辞退した。
 今回連続3選を目指す安倍晋三首相は経済政策「アベノミクス」で一定の効果を上げ、外交でも世界をリードする立場にある。「森友学園」「加(か)計(け)学園」問題などで不手際があったとはいえ、国政選挙では前人未到の5連勝を果たし、内閣支持率も50%前後のレベルにある。首相に戦いを挑むことは政権を否定する挑戦といっても過言ではない。
 安倍首相と対決する石破茂元幹事長は告示前、「同志をさげすむ党であってはならない」と述べ、総裁選後の内閣改造・党役員人事での冷遇を牽(けん)制(せい)した。「総裁選が終わったら、みんなで一致結束」は一般論としては美学だが、勝負は当事者に不退転の決意があってこそ真剣味を増す。
 石破氏は7日の立候補の届け出後、記者団にこう決意を語った。
 「全身全霊を持って臨む」「真剣でありたい」
 石破氏の望む政策論争はおおいに結構だが、根幹として自ら明言した通りの覚悟が求められる。(酒井充)