隠せぬ政治性 工事への影響は限定的 辺野古埋め立て承認撤回

普天間移設

 米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先・名護市辺野古の埋め立て承認撤回について、沖縄県の富川盛武副知事は31日の記者会見で「政治的判断は一切ない」と強調した。今後の訴訟で「行政権の乱用」と判断されないためにも、9月30日投開票の県知事選に絡む政治的思惑を否定しなければならなかったからだ。

 だが、撤回権限を委任された謝花喜一郎副知事はその政治性を隠せなかった。

 「(知事選に出馬する)玉城デニー氏は辺野古移設阻止を進める発言をしている。玉城氏は翁長雄志知事の遺志を引き継いでいる」

 謝花氏は富川氏と臨んだ記者会見で、知事選前の撤回判断について問われ、玉城氏に期待を表明した。判断が玉城氏の当選を見込んだ上でのものだったとも受け止められる。

 記者団から発言の政治性を指摘された謝花氏は「行政というのは、ある意味継続だ」と言い直した。だが、仲井真弘多前知事が行った埋め立て承認を覆して行政の継続性を否定したのは、謝花氏が仕えた翁長氏だった。

 翁長氏は平成27年、事前手続きの不備を理由に承認の「取り消し」を行った。翌年末に最高裁判決で敗訴が確定したことで「取り消し」は撤回したが、今度は承認後の瑕疵(かし)を理由とした「撤回」を目指した。県は承認の「取り消し」と「撤回」では理由が違うと主張するが、同じ埋め立て承認をめぐる県の姿勢は二転三転したといえる。

 政府は、今回の承認撤回が工事に与える影響は最小限にとどめられると踏む。裁判所が撤回の執行停止を数週間から1カ月で判断すると見通しているからだ。ただ、地盤改良工事や工事計画の変更には県の同意が必要で、玉城氏が当選すればこれを拒むとみられる。

 このため、政府は知事権限を国に移す特別措置法も含めた対抗措置を検討する考えだ。しかし、特措法には国会で野党が強硬に反対する可能性があり、自民党県連幹部は「知事選で負ければ普天間飛行場の危険性除去がさらに遠のく」と危機感を募らせている。(杉本康士)