妥協の産物の受動喫煙防止策 規制推進派と慎重派で思惑一致 問われる実効性 - 産経ニュース

妥協の産物の受動喫煙防止策 規制推進派と慎重派で思惑一致 問われる実効性

参院本会議で受動喫煙の対策強化が盛り込まれた改正健康増進法が賛成多数で可決、成立し議場に一礼する加藤勝信厚生労働相=18日午前、国会(春名中撮影)
 18日に成立した受動喫煙の対策強化を盛り込んだ改正健康増進法をめぐっては、昨年3月に厚生労働省が厳格な案を発表して以来、自民党内の規制推進派と慎重派が綱引きを演じてきた。最終的に規制を緩やかにしたい慎重派と、一歩でも前進を図りたい推進派の思惑が一致し、その内容は妥協の産物となった。
 もともと自民党内では規制に慎重な議員が大勢だった。規制を強化しすぎると、飲食店やたばこの販売業者らの反発を招き、選挙に影響が出かねないためだ。推進派でも「東京五輪を前に成立しないよりましだ」(厚労族議員)との判断が働き、18日の参院本会議で反対は出なかった。
 この日、本会議を傍聴した全国がん患者団体連合会の天野慎介理事長は記者団に「法律が成立したことについては進歩だが、内容は不十分なのでさらなる受動喫煙対策を進めてほしい」と語り、不満をにじませつつ一定の評価を下した。
 今後は実効性が問われることになる。改正法が適用されても、半数以上の飲食店は喫煙を認める「例外」となる。喫煙室を設置する店舗側の負担の問題もある。防止措置が完全に実施されているかどうかを厳密に調査し、違反者に公平に罰則を適用しなければ「ザル法」となりかねない。
 一方、受動喫煙により国内で年間1万5千人の命が奪われているとのデータもある。厚労省は今回の改正をあくまでも「経過措置」と位置づけ、受動喫煙の被害を減らす方向だ。菅義偉官房長官も18日の記者会見で「意義は極めて大きい。東京五輪に向け、望まない受動喫煙をなくしていくべく、対策を徹底していくことが重要だ」と述べた。
 菅氏は、例外の対象が多いことについて「新たに開設する店舗は(例外の)対象とならず、屋内禁煙になる」と語り、段階的な道筋を付けたとも強調した。
 喫煙者と非喫煙者の間で賛否が大きく割れる案件だけに、多くの理解が得られるバランスのある政策の遂行が求められる。(坂井広志)