【平成30年史 政界再編・インタビュー】細川護煕元首相「安倍さん、頑張っているが強引」「穏健な多党制へ早く選挙制度改革を」 - 産経ニュース

【平成30年史 政界再編・インタビュー】細川護煕元首相「安倍さん、頑張っているが強引」「穏健な多党制へ早く選挙制度改革を」

インタビューに答える細川護煕元首相=東京都港区(佐藤徳昭撮影)
インタビューに答える細川護煕元首相=東京都港区(佐藤徳昭撮影)
インタビューに答える細川護煕元首相=東京都港区(佐藤徳昭撮影)
インタビューに答える細川護煕元首相=東京都港区(佐藤徳昭撮影)
 日本新党を結成し、平成5年から6年にかけて非自民・非共産の連立政権を率いた細川護煕元首相に、政治改革への思いや国民福祉税構想、突然の辞意表明など当時の心境を聞いた。
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 --細川政権が短命に終わった原因は何だと思うか
 「一番の問題は、政治改革という目標が一応片付くと、その後に何をするのかという旗が掲げられなかったことです。政権内でしょっちゅう、ぐちゃぐちゃ互いに足を引っ張るような話をやっていたわけですから。新しい旗が掲げられないような状態では、この政権は終わりだと思いました。それが首相を辞めた理由です。行政改革や参院改革、教育改革もやりたいと思っていましたが」
 --在任中は佐川急便問題で自民党から追及を受けた
 「私としては問題はないと思っていました。(佐川側からの借入金を)全部、返済したという領収書を出して証明しているのに、いろいろ嫌みを言われて追及されるのはいい気持ちじゃないですよね。だから辞めたいという気持ちに拍車がかかったことはあるかもしれません。私は、やることをやり終えたらさっさと辞めさせてもらいたいという気持ちを一貫して持っていました。何でもかんでもポストに飛びつきたがる人が多いから、そういうことを言ってもなかなか信じてもらえないかもしれませんが。私は本当に恬淡というか、権力に対して全く欲がないものですから」
 --細川政権では官邸と与党の「権力の二重構造」が指摘された
 「それはマスコミのイメージですね。『一・一ライン』(当時の与党実力者小沢一郎新生党代表幹事、公明党の市川雄一書記長)とかね。与党は各党の代表者会議で実務をやっていただいたんだけど、大事な話は全部私のところに上がってきていましたよ。予算編成の時期やコメの自由化、政治改革、税も全部、私のところへ丸投げで上がってきていましたから。私が結局、判断しなくちゃならないということばかりでした」
 --国民福祉税構想について
 「大蔵省OBにひそかに会って税制に関するアイデアをいくつかもらっていたので、いずれ反映してもらうようにしようと思っていたんですが、私自身は政治改革とコメの自由化と大きな2つの問題を先に片付けなくてはなりませんでした。ですから、小沢さんたち与党側に任せていたわけです。それがいきなり、名称は国民福祉税で税率7%という話が出て、記者会見の時間まで決められていて、『これはちょっと参ったな』と思いました」
 --発表を見合わせる選択肢はなかったのか
 「そこまで考える時間も余裕もなかったですね。税率についてはそれ以前に、5%とか6%とかいくつかの数字が出ていました。だから私もとっさに『腰だめだ』なんて言っちゃったんだけど、あれはちょっとまずい発言でした。予想通りのリアクションでした。国民福祉税の話は悔いの残る話でしたね。年金目的税とか何かでやれたらよかった」
 --政治改革を通して、本当は日本の政治をどう変えたかったのか
 「政権交代がないと政治はよくならないという信念はありました。私は一貫して穏健な多党制を主張し、政権交代可能な二大政党制がいいといったことは一度もないと思います。ここは小沢さんとは違います。だって公明党だって共産党だって(既成政党は)なくなりっこないんだから。今でもドイツのような多党制で、連立政権を作る形が一番望ましいと思ってますね。イタリアのようになっては困るけど」
 --細川政権で導入した小選挙区制では穏健な多党制は成り立ちにくい
 「残念ながらそうですね。しかし、あのときはしようがなかった。政府原案に与党の社会党も反対して廃案になり、自民党案を丸飲みするしかなかった。だから、早く選挙制度の改革をしてもらいたい。中選挙区制ではなく、政府原案だった「250-250」(小選挙区250、全国区の比例代表250で2票制)になるような法改正をすれば、穏健な多党制になっていく可能性はあると思いますね」
 --日本新党結党の意義は
 「38年ぶりに自民党一党支配を倒して、政権交代したということが第一。2つ目には、それまで野党は二世議員や労組などの幹部しか参入できなかったのを日本新党は初めて公募を通じて候補を集めたということです。今も与野党に出身者が大勢おり、人材供給ができた。それくらいでしょうか」
 --現在の政治状況をどう見ているか
 「ぐちゃぐちゃで何をしているのかよく分からない。安倍(晋三首相)さんは頑張っておられるなとは思うけれど、政治手法がかなり強引ですね。野党がだらしがないから、与党がますます強権的になる。党利党略でなく、もっと国益の観点から真摯な議論をしてほしいですね」
(坂井広志)