【日露首脳会談】安倍晋三首相、領土問題進展へ対露信頼醸成に注力  - 産経ニュース

【日露首脳会談】安倍晋三首相、領土問題進展へ対露信頼醸成に注力 

会談後、共同記者発表をする安倍首相(左)とロシアのプーチン大統領=26日、モスクワのクレムリン(共同)
 安倍晋三首相とプーチン大統領による21回目の日露首脳会談で、北方領土返還に向けた実質的な成果はなかった。とはいえ首相は平和条約締結のためプーチン氏との信頼関係を深めることに注力した。日本人拉致を含む北朝鮮問題の解決にロシアの力は欠かせず、同じく北朝鮮に大きな影響力を持つ中国は経済でロシアとの結束を強めている。プーチン氏との信頼強化は対北、対中政策につながり、将来的な領土問題の進展に不可欠と判断した。
 「70年以上解決できなかった平和条約の締結は容易ではない。しかし、私たちの世代でこの問題に終止符を打ちたい」
 首相は26日のプーチン氏との共同記者発表でこう訴えた。その一環として両首脳は北方領土での共同経済活動の推進を確認したが、領土問題そのものが進展したとは言い難い。
 一方で首相はロシアとの経済協力で「ロシア人のライフスタイルを変える」として住宅建設や郵便、教育、医療などの事業を並べ、日本ならではの工夫をした。経済を軸にロシアとの関係を深めるためだ。プーチン氏は経済協力を歓迎し、記者発表での発言の大半を経済関係に費やした。
 対北朝鮮でもロシアは無視できない。米朝首脳会談の開催が流動的な中、プーチン氏は記者発表で「新しい対立に入らないよう努力しなければならない」と米国を牽制(けんせい)した。中国も「核実験停止など重要な努力をしている」と北朝鮮を擁護し、後ろ盾の姿勢を強める。中露が北朝鮮との安易な融和に向かえば、非核化だけでなく拉致問題の解決も遠のく恐れがある。
 首相は米国と緊密に連携しながら、「戦争で得た領土を絶対に返そうとはしない」(外交筋)ロシアとも信頼関係を深める難しいかじ取りに直面している。(小川真由美)