4人に1人が「自衛隊違憲」

産経・FNN合同世論調査

 産経新聞社とFNNの合同世論調査では、現行憲法下で自衛隊を違憲だと考えている人が、実に4人に1人もいることが分かった。憲法学者の世界ほどではないにしても、世論にも「自衛隊違憲論」が根強いことを裏付けたといえそうだ。主要野党は「自衛隊が合憲という認識は広く認知されている」として、安倍晋三首相(自民党総裁)が提案する憲法9条への自衛隊明記案に反対するが、改めて提案の意義が再確認されたといえる。

 支持政党別にみると、自衛隊を「違憲」だと答えたのは、自民党で17・8%、公明党で20・0%だった。国民民主党は違憲が30・0%で合憲の40・0%に迫り、立憲民主党は違憲が45・8%と合憲の42・7%を上回った。共産党支持層は51・5%が違憲と答えた。

 自民党は3月、憲法9条1、2項を維持した上で、「9条の2」を新設して自衛隊の存在を明記する改憲条文の素案を発表した。

 安倍首相は「朝日新聞の調査によると憲法学者の7割以上は違憲の疑いがあると言っている。自衛隊員は国民を守るために命をかけるが、いまだに多くの憲法学者は彼らを憲法違反と言う」と指摘し、違憲論争に終止符を打つためにも自衛隊を憲法に明記することが必要だと訴えてきた。

 これに対し、立憲民主党の枝野幸男代表は「国民の圧倒的多数も私も自衛隊を合憲だと思っている」と述べ、首相の提案は受け入れない立場を示している。野党はさらに、今国会で衆参両院の憲法審査会の実質的な審議に消極的な態度をとり続け、自民党の改憲条文素案はたなざらしとなったままだ。

 しかし世論調査を見る限りでは、枝野氏と立民支持者には乖離(かいり)があることが浮き彫りになった。

 自民党の二階俊博幹事長は21日の記者会見で、自衛隊合憲・違憲を問う今回の世論調査結果について「たくさん意見を出していただき、それを集約していくのが国会の仕事だ」と述べ、野党側に憲法改正議論を進めるよう促した。(千田恒弥)

 西修・駒沢大名誉教授

「本来は誰が読んでも合憲であるべき」

 自衛隊が違憲だと思っている人は、思ったよりも少ないと感じた。

 合憲か違憲かの考えについて、世論と憲法学者との落差がみられる。世論は憲法との関係で自衛隊を現実的に捉えているのに対し、憲法学者は観念的に考えるからだろう。

 一方で、自衛隊を憲法に明記することを賛成としている人が約6割だというのは少ない。世論調査では、全体の約55%が自衛隊は合憲としているが、憲法は最高法規であるので、本来は誰が読んでも合憲であるというのがあるべき姿だ。

 現行憲法では、積極的に自衛隊の保持を認めていない。憲法に自衛隊を明記し、平和条項と平和を保つ措置条項を同時に持つべきだ。

 浦田一郎・一橋大名誉教授

「自衛隊明記論の前提崩れている」

 25・8%の人が自衛隊が違憲だと回答したのは多いという印象を受けた。相当数が違憲としているのは憲法9条の重みによるものであり、25・8%は意義がある数字だ。

 28・5%の人が自衛隊が憲法に明記されることに反対していることも、多いと感じた。安倍首相の自衛隊明記の前提は、国民の大半が自衛隊を受け入れていることにあるが、世論調査の結果は安倍首相の自衛隊明記論とマッチしていないことを示している。

 私は非軍事平和主義である。自衛隊は憲法解釈上、違憲だ。現実に北朝鮮の問題を考えても、軍事的解決手段は存在しない。安倍首相は自衛隊の明記と改憲について、もっと考えるべきだ。