日本政府、南北共闘を警戒 板門店宣言「民族共同行事」で 慰安婦・徴用工問題が再燃も

歴史戦
板門店宣言に署名し握手する、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(左)と韓国の文在寅大統領=4月27日、板門店の韓国側施設「平和の家」(韓国共同写真記者団)

 日本政府は、南北首脳会談で署名された「板門店宣言」に朝鮮半島の「完全な非核化」目標が盛り込まれたことを評価している。ただ、宣言は「南と北にともに意義がある日を契機に、各界各層が参加する民族共同行事を積極的に推進し、和解と協力の雰囲気を高める」とも盛り込まれていることから、南北が日本に対し慰安婦問題や徴用工問題で共闘する可能性があるとして警戒している。

 宣言は、南北双方に「意義がある日」として、韓国の金大中大統領(当時)と北朝鮮の金正日総書記(同)による初の南北首脳会談が行われた「2000年6月15日」を明記している。

 それ以外に「意義がある日」となり得るのは、韓国の祝日となっている日本の朝鮮半島統治に抵抗して1919(大正8)年に起きた「三・一独立運動」の「3月1日」と、日本統治からの解放記念日「光復節」の「8月15日」だ。いずれも北朝鮮でも祝日になっている。

 さらに、韓国では昨年、毎年8月14日が「日本軍慰安婦被害者をたたえる日」に制定された。慰安婦問題を国内外に伝えるための行事を行う日となる。

 慰安婦問題は、平成27年の日韓合意で最終的かつ不可逆的に解決された。だが韓国国内には反発もあり、元慰安婦の支援団体「韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)」は北朝鮮との関係が指摘されることから、南北が共闘して慰安婦問題を蒸し返す可能性がある。

 徴用工問題をめぐっても、韓国の文在寅大統領は昨年の光復節の記念式典で「今後、北朝鮮との関係が改善されれば、南北共同での被害の実態調査を検討する」と述べている。

 一方、仮に日本が最重要視する日本人拉致問題の解決が実現すれば、政府は北朝鮮との国交正常化に向けて動く。その場合、北朝鮮は日本に対して慰安婦問題と徴用工問題を含めた戦後賠償を要求する公算が大きい。そうなると、韓国が絡んでくる事態も想定される。

 平成14年の日朝首脳会談に至る日朝交渉で、戦後賠償として日本からの経済協力に関し、ある政府関係者は「協議された可能性はある」と指摘する。ただ、別の関係者は「合意した金額はない」と断言している。