小池流改革が裏目に 安全対策工事は入札不調…移転日程に影

豊洲問題
築地市場移転問題で揺れる豊洲市場=10月31日、東京都江東区(ドローンで撮影・大井田裕)

 築地市場(東京都中央区)の豊洲市場(江東区)への移転問題で、小池百合子知事の施策が裏目に出ている。肝煎りの入札改革で豊洲市場の追加の安全対策工事の入札不調が相次ぎ、年内に契約成立にこぎ着けなければ移転スケジュールへの影響が懸念される。豊洲市場内の観光拠点の整備もメドが立たず、業界団体との移転日の調整も足踏み状態。都政邁進(まいしん)を掲げる小池氏は、最重要課題で綱渡りを余儀なくされそうだ。

リミットは年内契約

 「入札に参加する事業者にとっては、真っ暗闇の中でフェアウエーを狙ってボールを打つようなものだ」。入札業務に携わる都職員の一人は頭を抱えた。

 入札改革は、東京五輪・パラリンピックの会場整備費や豊洲市場整備費を「高い」と問題視した小池氏の意向で試行している。参加事業者が1者だけとなる「1者入札」の原則無効や、落札上限の「予定価格」の事後公表などが柱。事業者は工事の仕様などから予定価格を推定し入札金額を決めることになり、入札不調のリスクをはらむ。

 庁内では移転日程という制約に加え、工事の専門性や難易度から随意契約にすべきだとの声が上がったが、9月から9件の工事の入札手続きを開始。その結果、1者入札や予定価格超過などで7件が入札中止・不調となり、1件では4億380万円(税込み)の予定価格に対して入札金額が7億4千万円(税抜き)と大きく離れた。

 都と市場業界側の間では来年7月末までに工事を完了させた上で、10月11日に豊洲市場を開場させる方向で協議が行われてきた。都幹部は「7月末に間に合わせるために年内に契約を成立し、年明け早々に着工する必要がある」と話しており、再発注に向けて予定価格の見直しを含め入札条件の精査を急ピッチで行っている。

五輪計画直撃

 小池氏が6月に打ち上げた「築地再開発」の方針も影を落とす。都が江東区に約束した豊洲市場内の観光拠点「千客万来施設」整備の事業者「万葉倶楽部」(神奈川県)が、築地再開発で採算が取れなくなる可能性があるとして対応を検討し、整備事業が不透明な状況に陥っているのだ。

 江東区は今月6日、「整備が確定しない限り、市場の受け入れを再考せざるを得ない」などとするコメントを発表。市場業界側に動揺が走り、都と業界側で豊洲の開場日を決める協議会の開催が中止された。

 都の村松明典中央卸売市場長は、山崎孝明区長に面会し「最大限の努力をする」と説明。その後、山崎区長は15日の定例会見で「(小池氏に)来られたら言うことを聞いちゃうかもしれない」などと歩み寄りに含みを持たせたものの、決着には至っていない。

 市場移転が大幅に遅れれば、築地跡地を活用した東京五輪・パラリンピックの輸送計画を直撃する。都幹部の一人は願うように言った。「知事には当事者たちの心情をくみ取り、解決に向けた行動をとってほしい」