時勢に鈍い政党の姿が目についた 全ては手元の一票から 10月22日

産経抄

 衆院選の投票日を前に知人が頭を抱えていた。「1人は失言癖、1人は不行跡を週刊誌に報じられ、1人は新党にすがった国替え組だ。どうする」と。「国難突破」を託す政権選択選挙とはいえ、有権者が何を投票のよりどころとするかは悩ましい。

 ▼何年か前、小紙に載った川柳を思い出す。〈失言を居眠りをして待つ野党〉。有事への感度の悪さも、この句が描き出す気分と似たようなものだろう。論をまたない憲法改正への態度を見ても、時勢に鈍い政党の姿が目についた。有権者の判断はさて、どうなるか。

 ▼「一強多弱」と言われて久しい与野党の構図を覆す勢力は、いまだに現れていない。期待を担うかに見えた新党は対立軸が定まらない。この期に及んで安保法制を違憲と断じる政党に、国民を守り抜く信念はあるのか。風任せでは、有権者を失望させるだけだろう。

 ▼「国難」という問題提起はなされたが、その本質を候補者が丁寧に語ったのかどうかも疑問が残る。核・ミサイルを振りかざす北朝鮮だけではない。「世界一流」の軍隊建設を掲げ、尖閣諸島に手を伸ばす中国もいる。憲法9条は国民と領土を守ってはくれない。

 ▼思えば、野党が反対のための野党でしかなく、「一強」に代わる受け皿となれなかったことも、国民にとって不幸だった。見境のない新党への大移動を恥じるふうもなく、選挙後の野党再々編を臆面もなく語る人がいる。節操のかけらもない状況もまた国難だろう。

 ▼国政に緊張感を取り戻す。全ては手元の一票から始まることを忘れまい。台風による低投票率が危ぶまれている。雨や槍(やり)より厄介なものが空から降ろうかという危険な時代に、有権者の覚悟も問われていよう。雲行きを眺めても何も始まらない。